「同じ月齢の子はもう寝返りしているのに、うちの子はまだ——」。そんなふうに、まわりと比べて不安になること、ありませんか。SNSや健診の待合室で、つい他のお子さんと見くらべてしまいますよね。
赤ちゃんの運動発達は、首すわり・寝返り・おすわり・ハイハイ・つかまり立ち・ひとり歩きと、ゆるやかに進んでいきます。ただ、その進み方にはとても大きな個人差があります。月齢どおりに進まないことも、よくあるんです。
まず、怖がりすぎなくて大丈夫です。多くの場合、少し遅めでも個人差の範囲に収まります。この記事では、令和5年のこども家庭庁の調査をもとに、月齢ごとの目安と家庭でできる関わり方、そして「こんなときは相談を」という目安まで、一緒に整理していきますね。
医療情報について: このページは、家庭で確認しやすい一般的な情報を、こども家庭庁の乳幼児身体発育調査や、母子保健・小児科の情報をもとに整理したものです。私は看護師であり、医師ではありません。診断・治療の代わりにはなりません。発達には大きな個人差があり、この記事で発達障害などを判断するものではありません。
気になることがあるときの相談先は、かかりつけの小児科・乳幼児健診(1歳6か月健診・3歳児健診など)・お住まいの地域の保健センターや子育て/発達相談窓口です。一人で抱え込まず、これらの窓口に気軽に相談してください。また、急な体調の変化で判断に迷うときは、子ども医療電話相談 #8000 も利用できます。
要点: 赤ちゃんの運動発達は首すわりから歩くまで段階的に進みますが、進む時期にも順序にも大きな個人差があります。大切なのは3つ。①月齢の目安は「平均」ではなく幅で見る(90%が達成する時期が目安)、②うつぶせ遊びなど日常の関わりで育つ、③気になるサインが続くときは健診や小児科で相談する。比べて焦らなくて大丈夫です。
赤ちゃんの運動発達とは?首すわりから歩くまでの全体像
赤ちゃんの運動発達は、頭に近いところから足の方へ、体の中心から手先へと、順番に進んでいきます。 まず首がすわり、寝返り、おすわり、ハイハイ、つかまり立ち、ひとり歩きへと、少しずつ体を支える力が育っていくんですね。
この順序には意味があります。最初に首と背中が安定し、それを土台に座る・移動する・立つ力が積み上がっていきます。ひとつ前の動きが、次の動きの準備になっているイメージです。
ただし、進む時期には大きな個人差があります。こども家庭庁の令和5年乳幼児身体発育調査でも、それぞれの動作を「ほとんどの赤ちゃんが達成する時期」は数か月の幅をもって示されています(令和5年乳幼児身体発育調査/こども家庭庁)。早い子もゆっくりな子もいて、それ自体が自然なことなんです。
月齢別の運動発達の目安は?(令和5年こども家庭庁調査より)
月齢の目安は、令和5年こども家庭庁の調査で「90%以上の赤ちゃんが達成した時期」を基準に整理できます。 ここでの数字は「この月齢までにできていないと遅い」という線ではなく、多くの子が到達するめやすとして見てくださいね。
運動発達の月齢めやす一覧(90%以上が達成する時期の目安)
- 首すわり: 生後4〜5か月未満までに90%以上が達成。縦抱きで頭がぐらつかない状態。生後3か月ごろから安定し始めます
- 寝返り: 生後6〜7か月未満までに90%以上が達成。仰向けからうつぶせへ自力で転がれる状態。左右どちらかでもできれば問題ありません
- ひとりすわり: 生後9〜10か月未満までに90%以上が達成。両手を前につかずに数秒間座れる状態
- ハイハイ: 生後10〜11か月未満までに90%以上が達成。四つばいで前進する状態。ずりばい・高ばいなどバリエーションがあり、しない子もいます
- つかまり立ち: 生後11〜12か月未満までに90%以上が達成。テーブルや壁につかまって立ち上がれる状態
- 伝い歩き: つかまり立ちから数週間〜1か月ほどで始まる子が多い状態。家具沿いに横へ移動できます
- ひとり歩き: 平均的には1歳前後〜1歳3か月ごろ。令和5年調査では生後12〜18か月の範囲に大部分が分布します
これらは、令和5年乳幼児身体発育調査の結果にもとづく目安です(調査結果の公表について(プレスリリース)/こども家庭庁)。大切なのは「平均より早いか遅いか」より、お子さんなりに少しずつ次の段階へ進んでいるかどうかです。ひとつの月齢にとらわれすぎないでくださいね。
運動発達に個人差があるのはなぜ?焦らないためのポイント
運動発達の進み方には、もともと大きな個人差があります。順序や時期が少し違っても、それだけで心配する必要はありません。 大阪小児科医会の情報でも、運動発達の幅は広く、一人ひとり違うことが説明されています(乳幼児の運動発達Q&A/大阪小児科医会)。
たとえば、ハイハイをほとんどせずに、つかまり立ちへ進む子もいます。これは発達の順序のバリエーションのひとつで、それ自体がすぐに問題というわけではありません。ずりばいやおしりで進む「シャフリング」など、移動の仕方も子どもによってさまざまです。
比べて焦りやすいときに思い出したいこと
- 目安は「平均」ではなく「幅」: 90%が達成する時期には数か月の幅があります
- 順序にもバリエーションがある: ハイハイを飛ばす、寝返りより先に座る子もいます
- 早産・低出生体重の場合は修正月齢で見る: 予定日からの月齢で考えると、ゆっくりめなのは自然なことです
- その子なりに次へ進んでいるか: 止まっていなければ、少しゆっくりでも見守れることが多いです
とはいえ、「個人差」という言葉だけでは、不安が消えないこともありますよね。だからこそ、気になるときは遠慮なく健診や小児科で相談していいんです。相談することは大げさではありません。後半で、相談を考える目安を具体的に整理しますね。
家庭でできる関わり方は?うつぶせ遊びと日常の工夫
家庭では、特別な訓練よりも「いろいろな姿勢で体を動かす機会」をつくることが、運動発達の後押しになります。なかでも、うつぶせ遊び(タミータイム)が基礎になります。 理学療法士監修の情報でも、遊びの中で体を動かすことの大切さが紹介されています。
うつぶせ姿勢は、首・背中・腕の筋肉を育て、首すわりやハイハイの土台になります。生後1〜2か月ごろから、機嫌のよいときに短時間(最初は数分程度)から始めてみましょう。回数を少しずつ増やしていくイメージで大丈夫です。
月齢に合わせた関わりのヒント
- 首すわり前後: 機嫌のよいときにうつぶせ遊び。目の高さでおもちゃや顔を見せて、頭を持ち上げる動きをうながします
- 寝返り〜おすわりのころ: 横向きで遊ぶ、少し離れた場所におもちゃを置いて手を伸ばす機会をつくります
- ハイハイ〜立っちのころ: 安全な床のスペースを広げ、つかまりやすい安定した家具で動きを引き出します
うつぶせ遊びには、ひとつだけ守りたいことがあります。必ず大人が目を離さないことです。眠そうなときや、お腹がいっぱいの直後は避けましょう。お子さんが嫌がるときは無理をせず、機嫌のよいタイミングで短く試せば十分です。授乳のあとに少し時間をおいて取り入れるのもおすすめです(参考: 授乳中のスマホはダメ?赤ちゃんへの影響と上手な向き合い方)。
まろんの臨床メモ: 健診の場でも、「うちの子、発達が遅いでしょうか」というご相談はとても多いです。小児科で見てきた中では、保護者さんが心配されていても、月齢の幅の中に収まっていることが少なくありません。私がいつもお伝えしているのは、「できた/できない」の一点ではなく、数週間〜1か月の間に少しずつ動きが増えているかを見てみましょう、ということです。先月よりうつぶせで頭を高く上げられる、足の蹴りが力強くなった——そういう小さな変化が、ちゃんと前に進んでいるサインです。記録に残しておくと、健診で相談するときにも伝えやすくなりますよ。
気になるときはどこに相談する?健診・小児科に行く目安
多くは個人差の範囲ですが、「気になるサインが続く」ときは、次の健診を待たずに相談してよいです。 とくに、いったんできていた動作が突然できなくなった(退行)・体の突っ張りや反り返りが強い・手足の左右差が強いときは、早めの相談がすすめられます(参考: 健診での気づき/国立障害者リハビリテーションセンター)。
下の表は、家庭で迷ったときの整理のための目安です。あてはまるからといって、すぐに何か問題があると決まるわけではありません。「相談していいかな」と迷ったら、その気持ちを大切にして、かかりつけ医や保健センターに伝えてみてくださいね。
【発達で相談を考えるときの目安】
- 🚨 気になるサインが続くなら、早めに専門相談へ
- いったんできていた運動が突然できなくなった(発達の退行)
- 体の突っ張りや反り返りが非常に強く、抱っこがしにくい
- 生後5か月を過ぎても首がまったくすわらない
- ⚠️ 次の乳幼児健診で相談を
- 生後5か月前後で首すわりが不安定、または手足の左右差が強い
- 1歳半(18か月)を過ぎてもひとり歩きがない
- 体がやわらかすぎる・筋緊張が低いと感じる、または動きがぎこちない
- 生後3か月を過ぎても向き癖が強く、両側を向きにくい
- 📅 もう少し様子を見てよい(個人差の範囲のことが多い)
- ハイハイをせずにつかまり立ちへ進んだ(順序のバリエーション)
- 寝返りが生後8か月ごろまでにできた/つかまり立ちが1歳前後で始まった
- 歩き始めが1歳〜1歳3か月ごろ(個人差の範囲内)
- うつぶせ遊びを嫌がるが、機嫌のよいときに短時間は試せている
相談先は、かかりつけの小児科・乳幼児健診・地域の保健センターや発達相談窓口です。判断に迷うときや急な体調変化のときは #8000(子ども医療電話相談) も使えます。「これくらいで相談していいのかな」とためらわなくて大丈夫です。
乳幼児健診を上手に活用しよう
乳幼児健診は、運動発達をふくめてお子さんの育ちを定期的に確認できる、心強い機会です。 こども家庭庁も、健診を通じて子どもの発育・発達を継続的にみる取り組みを進めています(乳幼児健診に関する取組み/こども家庭庁)。気になることをまとめて相談できる場として活用しましょう。
健診の前に、気になっていることをメモにしておくと、短い時間でも伝えもれが防げます。「いつ何ができたか」「最近できるようになったこと」「不安に思う動き」を書いておくと、医師や保健師も状況をつかみやすくなります。動画を一本撮っておくのも役立ちますよ。
そして、健診と健診のあいだに気になることが出てきたら、次の健診を待たずに、かかりつけ医や保健センターに相談していいんです。早めに相談しておくことで、必要なときは発達の専門的なフォローにもつながりやすくなります。一人で抱え込まないことが、いちばんの安心につながります。
まとめ — 比べて焦らず、その子のペースを見守りましょう
同じ月齢の子と見くらべて不安になるのは、お子さんを大切に思っているからこそですよね。でも、赤ちゃんの運動発達には本当に大きな個人差があります。少しゆっくりでも、その子なりに前へ進んでいれば、見守れることが多いんです。
家庭でできることは、特別な訓練ではなく、うつぶせ遊びや、いろいろな姿勢で体を動かす機会をつくること。そして、月齢の目安は「平均」ではなく「幅」で見てあげてください。比べる相手は、よその子ではなく、先月のわが子で十分です。
もし退行・強い反り返り・左右差など気になるサインが続くときや、迷う気持ちがあるときは、健診や小児科、保健センターに遠慮なく相談してください。不安を一人で抱えなくて大丈夫。お子さんのペースを、一緒に見守っていきましょうね。
首すわりはいつ頃できますか?
令和5年のこども家庭庁「乳幼児身体発育調査」では、生後4〜5か月未満までに90%以上の赤ちゃんで首がすわっています。生後3か月ごろから安定し始めることが多く、生後5か月を過ぎても不安定な場合は健診・小児科への相談を検討しましょう。
ハイハイをしないまま立つ子もいますか?
います。ずりばい・おしりすり・高ばいなどのバリエーションがある子や、ほとんどハイハイをせずにつかまり立ちに進む子もいます。発達の順序には個人差があり、それ自体が直ちに問題とはなりません。気になるときは健診でご相談ください。
ひとり歩きの平均月齢はどのくらいですか?
一般的には1歳前後〜1歳3か月ごろに始まる子が多いとされています。令和5年調査では生後18か月(1歳半)未満までにほとんどの子が歩き始めています。1歳半を過ぎてもひとり歩きがみられない場合は1歳6か月健診や小児科でご相談ください。
うつぶせ遊びはいつから・どのくらいやればいいですか?
生後1〜2か月ごろから、機嫌のよいときに短時間(最初は数分程度)取り入れられます。うつぶせ姿勢は首・背中・腕の筋肉を育て、首すわりやハイハイの基礎になります。必ず大人が目を離さない状態で行い、眠そうなときはやめましょう。
どんなときに健診を待たず小児科に相談すればよいですか?
「首すわりが5か月過ぎても安定しない」「体の突っ張りや反り返りが強い」「手足に左右差がある」「いったんできていた動作が突然できなくなった」のいずれかに当てはまるときは、次の健診を待たずにかかりつけ小児科や地域の保健センターに相談してください。
参考文献


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