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病児保育とは|対象年齢・予約の流れ・利用料を看護師が解説

要点:病児保育は、子どもが病気や回復期で保育園に通えないとき、病院・保育所等に付設された専用スペースなどで一時的に預かってもらえる制度です。実施主体は市町村で、対象年齢・利用料・予約方法・必要書類は自治体や施設ごとに異なります。発熱の受診目安に迷うときは#8000も選択肢のひとつです。

保育園に通うお子さんが、朝から熱を出してしまった——共働きのご家庭では、そんな朝に「今日はどうしよう」と頭を抱えることが少なくないと思います。仕事は休めない、でも子どもは保育園に預けられない。そんなときの選択肢のひとつが「病児保育」です。制度の名前は聞いたことがあっても、対象年齢や利用の流れ、費用の目安まで正確に知っている方は意外と少ないのではないでしょうか。こども家庭庁の実施要綱や自治体の案内をもとに、仕組みを整理していきます。

医療情報について:このページは、病児保育制度と発熱時の目安に関する一般的な情報を、公的機関の資料にもとづいて整理したものです。診断や治療の代わりにはなりません。対象年齢・利用料・予約方法は自治体や施設により異なるため、実際に利用する際は、お住まいの自治体や施設の最新の案内で必ずご確認ください。

顔色が悪く苦しそう、唇や顔色が青紫になっている(チアノーゼ)、呼吸が速い、意識がはっきりしない、けいれんが5分以上治まらないなど、命に関わる心配なサインがあるときは、病児保育の利用を検討するより先に119番(救急車)を呼んでください。生後3か月未満で38℃以上の発熱や、頻繁な嘔吐・下痢、不機嫌でぐったりしている状態が続くときは、病児保育の利用を検討するより先に、かかりつけ医や夜間・休日の救急外来を受診してください。受診の要否に迷うときは、子ども医療電話相談#8000へ相談できます(119番の代わりではありません)。

筆者は看護師であり、医師による個別の診断に代わるものではありません。

病児保育とは、どんな制度?

病児保育は、子どもが病気や病気の回復期で保育園などに通えないとき、病院や保育所に付設された専用スペースなどで一時的に子どもを保育してもらえる制度です。こども家庭庁の「病児保育事業実施要綱」(令和6年4月1日適用)では、保護者が就労している場合などに自宅での保育が難しいときの受け皿として、病気の児童を一時的に保育するほか、保育中に体調が悪くなった子どもへの緊急対応や、子どもの自宅への訪問保育も行うことが目的として定められています。

病児保育は「地域子ども・子育て支援事業」のひとつに位置づけられており、実施主体は市町村です。市町村が認めた事業者へ委託して運営されることもあり、費用は国・都道府県・市町村がそれぞれ3分の1ずつ負担する仕組みになっています。

病児保育にはどんな種類があるの?

病児保育事業実施要綱では、①病児対応型②病後児対応型③体調不良児対応型④非施設型(訪問型)⑤送迎対応⑥当日キャンセル対応の6つの事業類型が定められています。子どもの状態や利用シーンによって、使えるタイプが変わってきます。

  • ①病児対応型:回復期に至らない場合で症状の急変が認められないときに、病院・診療所や保育所付設の専用スペース等で一時的に保育。
  • ②病後児対応型:病気の回復期であり、集団保育が難しい期間に、同様の場所で一時的に保育。
  • ③体調不良児対応型:保育中に微熱など体調不良になった子どもに、通っている保育所等で緊急的・保健的な対応を図る。
  • ④非施設型(訪問型):回復期に至らない場合や回復期で集団保育が難しい期間に、子どもの自宅を訪問して一時的に保育。

⑤送迎対応、⑥当日キャンセル対応も事業類型として位置づけられていますが、実施の有無は自治体・施設によって差があります。利用を考えるときは、お住まいの自治体がどの類型を実施しているか確認しておくと安心です。

体調不良児対応型・訪問型は、どんな体制で行われるの?

体調不良児対応型は、保育所や医務室のある認定こども園などで看護師等を1名以上配置し、看護師等1名につき預かる子どもは2人程度とされています。この看護師等は、日常的に園全体の健康・衛生管理も担い、地域の子育て家庭への相談支援も定期的に行います。

非施設型(訪問型)は、利用する子どもの自宅で行われ、病児・病後児の看護を担当する研修を修了した看護師等・保育士・「家庭的保育者」のいずれかが1名以上配置されます。預かる子どもの人数は、職員1名につき1人程度です。いわゆる「自宅に来てもらうタイプ」の病児保育も、この訪問型の枠組みに位置づけられています。運営主体や料金体系は事業者・自治体により異なるため、個別に確認しておくとよいでしょう。

誰が利用できる?対象年齢は?

病児保育の対象年齢は、実施主体である市町村や施設ごとに定められており、全国一律の基準があるわけではありません。たとえば横浜市の病児保育事業では、対象年齢は生後6か月から小学校6年生までとされています。

「うちの自治体でも同じ年齢まで使えるの?」という疑問を持つ方もいらっしゃいますが、対象年齢・利用可能日数・広域利用の可否は自治体ごとに差があります。埼玉県の案内でも、利用手続きや施設所在地の市町村以外に住む場合の利用可否は各施設に問い合わせるよう案内されています。まずは、お住まいの自治体の子育て支援窓口や、利用したい施設のホームページで確認してみましょう。

利用するには、どんな流れが必要?

病児対応型・病後児対応型・非施設型(訪問型)を利用する場合、対象となる子どもをかかりつけ医に受診させたうえで、保護者と施設が協議して受け入れや訪問を決定する流れが基本です。医療機関でない施設が病児対応型・非施設型(訪問型)を実施する場合は、症状や処方内容を記載した連絡票(診察した医師が入院の必要はないと署名したもの)をもとに、受け入れを判断します。

呼び方や様式は自治体で異なります。横浜市では、あらかじめ「利用登録票」を提出したうえで、かかりつけ医が作成する「利用連絡書」、施設への予約(またはWEB予約)、利用当日の「利用連絡書」「利用申込書」の提出という流れです。中野区では同様の書類を「医師連絡票」と呼び、有効期間は7日間まで、医療機関には備え付けられていないため利用者があらかじめ入手して受診時に持参する必要があります。名称・様式・有効期間は自治体ごとに異なるため、急な発熱に慌てないよう事前に確認しておくと安心です。

利用料はどれくらいかかるの?

病児保育の利用料は、国が一律に金額を定めているわけではなく、実施要綱でも「経費の一部を保護者負担とすることができる」とされているにとどまります。実際の金額は自治体・施設ごとに設定されます。

たとえば横浜市の病児保育事業では、生活保護世帯・市民税非課税世帯・ひとり親家庭等福祉医療証交付世帯は利用料0円、それ以外の世帯は1日あたり2,000円とされています。同じ制度でも自治体によって金額や減免の条件は異なるため、目安として捉えたうえで、利用する施設・自治体の最新の案内で確認してください。

発熱したとき、まず何を確認する?

病児保育を使うかどうか迷う前に、まず子どもの状態に心配なサインがないかを確認することが大切です。厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドライン」では、保育所の登園判断の目安として、発熱時に確認したいポイントが示されています。

【発熱したとき】まず何を確認する?

  • 🚨 今すぐ119番(救急車)
    • 顔色が悪く苦しそうなとき
    • 唇や顔色が青紫になっている(チアノーゼ)とき
    • 小鼻がピクピクして呼吸が速いとき
    • 意識がはっきりしないとき
    • けいれんが5分以上治まらないとき
  • 🚑 当日中に受診(夜間・休日は救急外来へ)
    • 生後3か月未満で38℃以上の発熱があるとき
    • 頻繁な嘔吐や下痢があるとき
    • 不機嫌でぐったりしているとき
  • 📅 家庭で様子を見つつ、保育園・病児保育の利用を検討
    • 上記のような心配なサインが見られない場合でも、あくまで目安であり、子どもの全身状態を見ながらかかりつけ医や#8000に相談して判断を

この目安は厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン」の登園判断(至急受診が必要と考えられる場合)を参考にしたものです。発熱についてはあくまで目安であり、個々の平熱に応じて個別に判断するとされています。判断に迷うときは#8000(子ども医療電話相談)へ相談してください(119番の代わりではなく、判断に迷うときの相談窓口です)。

なお、この登園判断の目安は保育所への「登園」を対象にしたものです。病児保育を利用できるかどうかは、これとは別に、かかりつけ医の受診と連絡票をもとにした個別の判断になる点も覚えておくと、混同せずに整理しやすくなります。

困ったときは、どこに相談できる?

病児保育の利用方法や制度について迷ったときは、お住まいの自治体の子育て支援窓口や、利用したい施設に直接問い合わせるのが確実です。業界団体として、1991年設立の全国病児保育協議会があり、質の向上や安全対策の推進、調査研究に取り組んでいます(2025年2月時点で加盟施設823、個人会員90名)。

発熱そのものへの対応に迷うときは、子ども医療電話相談#8000も選択肢のひとつです。2010年7月5日から全国で実施されており、夜間・休日に小児科医師・看護師から症状に応じたアドバイスを受けられます。

まろんの体験談|病児保育に助けられた3つの場面

数年前、まだ下の子が2歳だった朝のことです。朝6時半に熱を測ると38.4℃——その日は日勤のリーダー業務が入っていて、簡単には休めない日でした。「どうしよう、病児保育って使えるのかな」と、頭が真っ白になったのを覚えています。保育園に連絡を入れながら、次にすることを必死に考えていました。

そのとき助けてくれたのが、地域の病児保育施設でした。ここからは、私が実際に利用した3つの場面を振り返ります。制度の仕組みはここまででお伝えした通りなので、ここでは体験だけをお話しします。

ケース①:朝の急な発熱、前日の登録が助けになった場面
前日のうちに利用登録を済ませていたおかげで、当日は施設へ電話をかけるだけで済みました。かかりつけ医を受診して連絡票をもらい、診断は「突発性発疹」。朝8時に施設へ電話し、9時には預けられて、日勤に間に合いました。もし登録が済んでいなかったら、もっと慌てていたと思います。事前の準備がここまで違うのかと実感した朝でした。

ケース②:回復期の病後児保育に助けられた場面
熱は下がったもののまだ本調子ではない時期は、病後児対応の預かりを利用しました。自宅だけで回復期の様子を見守るのは、想像以上に気を張るものです。施設からは「お昼寝しました」「食事を完食しました」といった様子がこまめに届き、離れていても安心して仕事に向き合えました。

ケース③:連日の利用と職場調整
発熱が長引いたときは、数日続けて病児保育を利用しました。朝一番でリーダーに報告し、同僚に「午前だけお願いします」と時短勤務で対応してもらったことも。「お互いさま」と受け止めてもらえたことが、続けて頼るうえでの支えになりました。ひとりで抱え込まず、早めに職場へ伝えることも、私にとっては大事な備えでした。

仕事と育児、どちらも全力は難しいと感じる日があります。それでも、無理をせず「選択肢」を持つことは、誰にでもできることだと思います。今振り返っても、あのとき勇気を出して施設に電話してよかったと感じています。数年前のこの経験が、同じように迷っている方の一歩を少しでも軽くできたら嬉しいです。

よくある質問

Q. 病児保育は誰でもすぐに使えますか?

A. 自治体・施設によって流れは異なりますが、横浜市の例のように、事前の利用登録票の提出やかかりつけ医による連絡書の作成、施設への予約が必要になるケースがあります。急な発熱に慌てないよう、お住まいの自治体や利用したい施設の案内を早めに確認しておくと安心です。

Q. 対象年齢は何歳までですか?

A. 全国一律の基準はなく、自治体・施設ごとに定められています。横浜市は生後6か月から小学校6年生までが対象ですが、他の自治体では異なる場合があるため、利用したい施設に確認してください。

Q. 利用料はいくらくらいですか?

A. 国が一律に金額を定めているわけではなく、自治体や世帯の状況によって異なります。横浜市の例では1日2,000円(非課税世帯等は0円)ですが、あくまで一例です。利用する施設・自治体の案内で確認しましょう。

Q. 自宅に来てもらうタイプの病児保育もありますか?

A. あります。実施要綱では「非施設型(訪問型)」として位置づけられ、研修を修了した看護師等・保育士等が自宅を訪問します。運営主体や料金体系は事業者・自治体により異なるため、個別に確認してください。

Q. 保育園で対応してもらえる「体調不良児対応型」とは何が違いますか?

A. 体調不良児対応型は、通っている保育所内で看護師等が緊急的・保健的な対応を行う仕組みです。専用施設や訪問先で預かる病児対応型とは異なり、通っている保育所の中で対応してもらえる点が特徴です。

Q. 予約なしでも当日利用できますか?

A. 実施要綱では「当日キャンセル対応」も6つの事業類型のひとつとして位置づけられていますが、実施の有無や具体的な内容は自治体・施設によって異なります。横浜市・中野区の例のように、事前の登録票や連絡票の提出を前提とする自治体もあるため、まずはお住まいの自治体や利用したい施設に確認してみましょう。

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