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子どもの癇癪(かんしゃく)への対応|やってはいけない関わり方と落ち着くまでのコツを看護師が解説

子どもの癇癪(かんしゃく)への対応|やってはいけない関わり方と落ち着くまでのコツを看護師が解説 根拠で考える子育て

スーパーの床に寝転がって泣き叫ぶ、思いどおりにいかないと体を反らせて手がつけられない——。お子さんの激しい癇癪(かんしゃく)を前にすると、どう関わればいいのか、途方に暮れてしまいますよね。

とくに、人目のある場所で爆発されると、「私の育て方が悪いのかな」と自分を責めてしまう保護者さんも少なくありません。毎日くり返されると、心も体もすり減ってしまいます。

まず、お伝えしたいことがあります。癇癪は、多くのお子さんが通る正常な発達の過程です。怖がりすぎなくて大丈夫です。この記事では、なぜ起きるのかを脳と発達の面から整理し、家庭での関わり方のコツ、ついやりがちだけど避けたい対応、そして気になるときの相談先まで、一緒に見ていきますね。

この記事について: このページは、子どもの癇癪と発達について、国(こども家庭庁・厚生労働省)の情報や大学・研究機関の知見をもとに、家庭で役立つ形に整理した一般的な情報です。私は看護師であり、医師ではありません。診断・治療の代わりにはなりません。発達には大きな個人差があり、この記事だけで発達障害かどうかを判断することはできません。

気になることがあるときは、かかりつけの小児科医、1歳6か月児健診・3歳児健診、お住まいの地域の保健センターや子育て・発達相談、発達障害者支援センターなどに相談できます。診断がなくても相談は可能です。なお、癇癪のあとに呼吸が長く乱れる・意識がもうろうとするなど、体調そのものの急な変化が心配なときは、子ども医療電話相談 #8000 でも相談できます。

要点: 癇癪は、感情をコントロールする脳(前頭前野)が育ちきっていないために起こる、正常な発達の過程です。一般的に2〜4歳がピークとされます。大切なのは3つ。①安全を確保して見守る(怒鳴らない・要求を全部のまない)、②気持ちを言葉にする(「〜したかったんだね」)、③落ち着いてから関わる。気になるサインが続くときは、健診や保健センターに相談を。

子どもの癇癪、なぜ起きるの? 脳と発達から読み解く

癇癪が起きる大きな理由は、感情をコントロールする脳の部分(前頭前野)が、まだ育ちきっていないからです。 1〜3歳ごろは「自分でやりたい」気持ちが急に強くなるのに、できることや言葉が追いつかず、そのギャップが感情の爆発につながります。

前頭前野は、気持ちにブレーキをかけたり、がまんしたりする働きをになう場所です。この部分の発達には長い時間がかかり、完成するのは20代後半とも言われています。つまり、小さなお子さんが自分で感情を抑えられないのは、わがままではなく、脳の発達上ごく自然なことなんです。

小児科の現場でも、この時期の癇癪は自我が芽生えるサインとして説明されます。「自分でやりたい」という気持ちが旺盛になる一方で、実際にできることとのギャップが大きく、それが感情の爆発の主な原因になります。言葉で気持ちを表現する力もまだ未熟なため、体全体で訴えるしかないんですね。

だからこの時期は、保護者さんが「外部の前頭前野」のような役割をになう、と考えると気持ちがラクになります。お子さんの代わりに感情を受け止め、落ち着くのを手伝う——それが、いずれお子さん自身の感情コントロール力を育てる土台になっていきます。「困らせようとしている」のではなく、「うまくできなくて困っている」のだと見方を変えてみてくださいね。

年齢ごとに変わる癇癪の特徴は? 1歳・2歳・3歳・4歳以降の目安

癇癪は1歳ごろから出はじめ、2〜4歳でピークを迎え、5歳ごろには落ち着いてくる傾向がある、と複数の専門家が指摘しています。 言葉が増えて気持ちを伝えられるようになるにつれ、頻度は少しずつ減っていくのが一般的な流れです。ただし、ここに挙げる時期はあくまで目安で、個人差はとても大きいものです。

月齢・年齢ごとの癇癪の目安

  • 〜1歳ごろ: 空腹・眠気・痛みなどの不快を、泣く・喚くで表現する段階。まだ言葉の代わりに体全体で訴えます
  • 1〜1歳6か月ごろ: 「自分でやりたい」気持ちが芽生え、親の行動への「イヤ」が出はじめます
  • 1歳6か月〜3歳ごろ(イヤイヤ期のピーク): 自我が急に広がり、思いどおりにならないと泣き叫ぶ・床に寝転がるなど、激しい癇癪が増えます。いちばん対応に困りやすい時期です
  • 3〜4歳ごろ: 言葉が増え、気持ちをある程度言えるように。不公平感など複雑な感情も理由に加わりますが、頻度は徐々に落ち着く傾向です
  • 4〜5歳以降: 感情をコントロールする力が育ち、多くの場合は癇癪が減ってきます

もし、5歳を過ぎても毎日のように激しい癇癪が続くようなときは、発達の特性が影響している可能性も考え、相談を検討する一つの目安とされています。とはいえ、これも「絶対」ではありません。気になるときは、後ろで紹介する相談先を頼ってくださいね。

癇癪のときに「やってはいけない」関わり方は?

避けたい関わり方は、大きく分けて「怒鳴る」「要求を全部のむ」「体罰や暴言」の3つです。 どれも、よかれと思って、あるいは余裕がなくてやってしまいがちな対応です。なぜ避けたいのか、理由を知っておくと、いざというときに踏みとどまりやすくなります。

①怒鳴る・大声で叱る

感情が高ぶっている最中の子どもに怒鳴ると、余計に興奮させてしまい、言葉もほとんど届きません。怒りと叱りは別もので、感情をぶつける「怒る」ではなく、落ち着いて伝える「叱る」が大切だと整理されています(怒る・叱るの違いと感情コミュニケーション/東洋大学・鈴木崇之教授)。ピーク中は、指示よりも「そばにいるよ」が先です。

②泣き叫べば要求を全部のむ

泣き叫べば必ず思いどおりになる、という経験をくり返すと、「癇癪を起こせばうまくいく」と学習してしまうことがあります。精神科医の監修記事でも、怒鳴る対応と要求を全部のむ対応はどちらも避けるべきとされています。ダメなことは穏やかに一貫して、が基本です。

③体罰・暴言で押さえつける

たたく・強い言葉で責めるといった関わりは、避けたい対応です。福井大学・友田明美教授の研究では、長期間の暴言を受けた子どもで聴覚をつかさどる部分の容積が約14.1%増え、継続的な体罰を経験した子どもで前頭前野の一部の容積が平均約19.1%減っていたことが確認されています(不適切養育と脳科学研究/SciencePortal・科学技術振興機構)。怖がらせるための数字ではありません。「強く叱るほど逆効果になりうる」と知っておくと、別の関わりを選びやすくなります。

まろんの臨床メモ: 病棟でも、処置を嫌がって大泣きするお子さんはたくさんいます。そんなとき、私たちはまず「やめなさい」とは言いません。「びっくりしたね」「いやだったね」と、まず気持ちを言葉にします。不思議なもので、気持ちを当ててもらえると、子どもは少しずつ落ち着いていくんです。ご家庭でも同じで、感情のピーク中は、説得よりも「気持ちの実況中継」のほうが届きます。完璧に対応できなくて大丈夫。「そばにいるよ」が伝わっていれば、それで十分なことも多いですよ。

落ち着くまでの関わり方は? 癇癪中・癇癪後のステップ

基本は、①安全を確保して見守る → ②気持ちを言葉にする → ③落ち着いてから関わる、の順番です。 国の保育所保育指針でも、思いどおりにいかない子どもの不安定な感情は、まわりの大人が受容的に受け止めることが大切とされ、感情から立ち直る経験の積み重ねが重視されています(保育所保育指針(平成29年)/厚生労働省)。

癇癪の最中にできること

  • まず安全を確保: 頭をぶつけそうなもの、とがったものを遠ざけ、ケガをしない環境にします
  • 怒鳴らず、そばにいる: 無理に立たせたり、説得したりせず、落ち着くのを静かに待ちます
  • 気持ちを言葉にする: 「〇〇したかったんだね」「悔しかったね」と代弁します。感情を否定せず言語化すると、子ども自身が感情を理解する助けになります

子どもの感情を否定せず言葉にする関わりは、感情コーチングとも呼ばれ、自律神経が落ち着き、感情をコントロールする力が育まれると説明されています。ピーク中は、指示よりも「ここにいるよ」というメッセージを優先しましょう。

落ち着いてきたら

少し落ち着いてきたら、抱っこや穏やかな声かけで安心感を伝えます。このとき、長い説教は控えめに。「気持ちが切り替えられたね」と、落ち着けたこと自体をそっと認めてあげると、次につながりやすくなります。完璧を目指さず、「今日はここまでできた」で十分です。

癇癪を起こりにくくする日常のヒントは?

癇癪をゼロにはできませんが、起きにくい環境づくりはできます。鍵になるのが、生活リズムを整え、お子さんが穏やかに過ごせる土台をつくることです。 京都大学の研究では、感情や自己制御をになう脳の働きはストレスに弱く、慢性的なストレス下ではその発達に影響が出る可能性があると指摘されています(子どもの実行機能の発達と環境・森口佑介/ヤマハ音楽財団 ON-KEN SCOPE)。

とくに効きやすいのが、空腹・眠気・疲れをためないこと。癇癪の引き金は、特定の場面よりも「お腹がすいた」「眠い」といった体の状態であることが多いものです。お昼寝や睡眠を整えるだけでも、爆発の回数が減ることがあります。睡眠と昼寝のコツは、子どもの昼寝はなぜ大切?年齢別の目安と寝かしつけのコツ も参考になります。

もうひとつは、「自分で選べる場面」をつくること。「どっちの靴にする?」と小さな選択肢を渡すと、「自分でやりたい」気持ちが満たされ、衝突が減ることがあります。気持ちを言葉にする練習として、ごっこ遊びで育む力とは?年齢別の特徴と声かけのコツ のような遊びの中でのやりとりも役立ちます。どれも「これですぐに落ち着く」わけではありませんが、試しやすいところから一つずつで大丈夫です。

これって相談したほうがいい? 発達相談を考えるサインは?

癇癪そのものは多くのお子さんに見られる発達過程ですが、年齢が上がっても頻度や強さが増す、自傷や他害をともなう、といった場合は相談を検討する目安です。 「もしかして発達障害?」と気になったときは、一人で抱え込まず、専門の窓口に相談していいんです。下の表を、相談を考えるときの目安にしてください。

【発達で相談を考えるときの目安】

  • 🚨 気になるサインが続くなら、早めに専門相談を
    • 頭を壁に何度も打ちつける・自分を強くたたくなど、自傷をともなう癇癪がくり返し起きている
    • かみつく・引っかく・物を投げるなど、他害が強く、家族や園のお友だちがケガをしそうになる
    • 癇癪のあと、長時間(1時間以上)呼吸が乱れる・意識がもうろうとするなど、体の様子が心配(この場合は #8000 も活用)
  • ⚠️ 次の乳幼児健診や、かかりつけ医で相談を
    • 5歳を過ぎても毎日激しい癇癪が続き、幼稚園・保育園の生活に支障が出ている
    • 予定や手順の変更で激しいパニックになるなど、気持ちの切り替えの難しさが特に目立つ
    • 気になるけれど相談先が分からない(まずは市区町村の保健センターや発達障害者支援センターへ)
  • 📅 もう少し様子を見てよい
    • 2〜4歳のイヤイヤ期のピーク内で、頻度・強さが年齢に見合っている
    • 癇癪のあとは比較的すみやかに落ち着き、抱っこや声かけで安心できる
    • 原因が分かりやすく(空腹・眠気・特定の場面)、日常生活に大きな支障はない

毎日のように癇癪があり、保護者さん自身が疲れきっているときも、立派な相談理由です。まずは保健センターに「しんどい」と伝えるだけでも構いません。「これくらいで相談していいのかな」とためらわなくて大丈夫ですよ。

相談先はどこ? 保健センター・発達障害者支援センターの使い方

身近な相談先は、乳幼児健診・かかりつけ小児科・保健センター・発達障害者支援センターです。いずれも、診断がなくても相談できます。 まず使いやすいのが、法律で市町村に義務づけられている1歳6か月児健診・3歳児健診。精神発達や言葉の発達、育児の困りごとについて、保健指導や発達相談を受けられます(乳幼児健診について/こども家庭庁)。

健診の間の時期や、健診を待たずに相談したいときは、お住まいの保健センター(市区町村の窓口)が入り口になります。そこから、より専門的な相談につないでもらえます。発達に関する専門窓口としては、発達障害者支援センターがあり、都道府県・指定都市が運営し、相談は無料で、診断がなくても受け付けています発達障害の相談窓口FAQ/発達障害情報ポータルサイト)。お近くのセンターは、発達障害者支援センター一覧/国立障害者リハビリテーションセンター から探せます。

「心の面」での相談先としては、国立成育医療研究センターのこどもの心の診療ネットワーク事業 も参考になります。大切なのは、「相談=発達障害の決めつけ」ではないということ。早めに相談しておくと、お子さんに合った関わり方のヒントが得られたり、保護者さんの不安が軽くなったりします。迷うときは、気軽に頼っていいんです。

まとめ — 癇癪は成長の一歩、一人で抱えなくて大丈夫

激しい癇癪に毎日向き合うのは、本当に消耗しますよね。でも、癇癪は感情をコントロールする脳が育っている途中だからこそ起こる、正常な発達の過程です。多くの場合、言葉が増えるにつれて少しずつ落ち着いていきます。

家庭でできることは、シンプルです。安全を確保して見守り、怒鳴らず、気持ちを言葉にして、落ち着いてから関わる。 怒鳴る・要求を全部のむ・体罰や暴言、この3つは避けたい対応です。そして、生活リズムを整え、空腹や眠気をためないことが、癇癪を起こりにくくする土台になります。

もし、自傷や他害をともなう、5歳を過ぎても激しい癇癪が続くなど気になるサインがあるときや、保護者さん自身がしんどいときは、健診や保健センター、発達障害者支援センターに、遠慮なく相談してください。発達には大きな個人差があります。一人で抱え込まなくて大丈夫。お子さんの成長を、そばで一緒に見守っていきましょうね。

子どもの癇癪はいつまで続きますか?

個人差は大きいですが、一般的には2〜4歳がピークで、5歳ごろには落ち着いてくることが多いとされています。言葉が増えて気持ちを伝えられるようになるにつれ、頻度は減っていく傾向です。ただし5歳を過ぎても毎日のように激しい癇癪が続く場合は、保健センターやかかりつけ医に相談することも選択肢の一つです。

癇癪の最中に怒鳴ったり、要求をすべてのんだりするのはなぜよくないのですか?

怒鳴ると子どもをさらに興奮させ、感情が高ぶった状態では言葉がほとんど届きません。一方、泣き叫べば必ず要求が通る経験を重ねると「癇癪を起こせばうまくいく」と学習してしまい、長期的に癇癪が増えることがあります。どちらも避け、落ち着くまで安全な場所で見守ることが基本です。

癇癪は発達障害のサインですか?

癇癪そのものは多くの子どもに見られる発達過程の一つです。ただし、年齢が上がっても頻度・強さが増す、自傷・他害をともなう、気持ちの切り替えが極端に難しいといった場合は、発達の特性が影響している可能性も考えられます。気になったときは、まず保健センターや発達障害者支援センターに相談してみてください。診断がなくても相談できます。

癇癪を起こしているとき、どのように関わればよいですか?

まず安全を確保し(危険なものを遠ざける)、怒鳴らずそばにいます。「〇〇したかったんだね」「悔しかったね」と気持ちを言葉にすると、子ども自身が感情を理解する助けになります。落ち着いてきたら抱っこや穏やかな声かけで安心感を。感情のピーク中は、指示よりも「ここにいるよ」というメッセージを優先しましょう。

癇癪で発達相談を考えるのは、どんなときですか?

主に次のサインがあるときは相談を検討してください。①5歳を過ぎても毎日激しい癇癪が続く、②頭を壁に打ちつけるなど自傷がある、③かむ・引っかくなど他害が強い、④気持ちの切り替えが極端に難しく日常生活に支障が出ている。発達障害者支援センターは無料・診断不要で相談を受け付けています。


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