母子手帳の予防接種ページを開いて、種類の多さに思わずため息——。「いつ、何を、どの順番で受ければいいの」と、頭がいっぱいになってしまいますよね。とくに生後2か月は、いっぺんにいくつも受けることになって、戸惑う保護者さんがたくさんいらっしゃいます。
0〜6歳のあいだに受ける定期接種は、種類も回数も多く、スケジュール管理がなかなか大変です。しかも制度はときどき変わります。2024年4月からは五種混合ワクチンが定期接種になり、それまでより接種回数が整理されました。情報を追いきれず、不安になるのは自然なことなんです。
まず、怖がりすぎなくて大丈夫です。スケジュールには標準的な順番と目安の時期がきちんと決まっていて、迷ったらかかりつけ医が一緒に組み立ててくれます。この記事では、月齢別の受け方、同時接種の考え方、打ち忘れたときの立て直し方まで、国や日本小児科学会の情報をもとに、一緒に整理していきますね。
医療情報について: このページは、家庭で確認しやすい一般的な情報を、厚生労働省・日本小児科学会・国立健康危機管理研究機構(JIHS)の情報をもとに整理したものです。私は看護師であり、医師ではありません。診断・治療の代わりにはなりません。個別の接種計画は、かかりつけ医での確認が基本です。
接種後30分以内にじんましん(広範囲)・顔や唇の腫れ・呼吸が苦しそう・ぐったりして反応がおかしい——こうしたサインはアナフィラキシーの可能性があり、すぐに接種会場か救急へ相談してください。ロタウイルスワクチンのあと1〜2週間以内に、突然激しく泣く・繰り返す嘔吐・血便・顔色が悪くぐったりするときは腸重積を疑い、速やかに受診を。判断に迷うときは、子ども医療電話相談 #8000 にも相談できます。
要点: 0〜6歳の定期接種は種類が多く、生後2か月のスタートがカギです。大切なのは3つ。①生後2か月になったら早めに開始(ロタは生後14週6日が初回の期限)、②同時接種を活用して受け忘れを防ぐ(学会は本数に原則制限なしとしています)、③遅れても立て直せる(キャッチアップスケジュールがあるので、まずかかりつけ医へ)。
0〜6歳の予防接種はなぜ大切なの?定期接種と任意接種のちがい
予防接種は、子どもがまだ自分で病気とたたかう力をつける前に、重い感染症から守るための仕組みです。定期接種は国がすすめ、対象年齢内は原則無料で受けられます。 0〜6歳に集中しているのは、この時期に重症化しやすい病気が多いからなんです。
予防接種には、大きく分けて「定期接種」と「任意接種」があります。定期接種は予防接種法に基づき、国や自治体が費用を負担し、対象年齢の期間内は原則無料で受けられます(予防接種・ワクチン情報/厚生労働省)。五種混合、肺炎球菌、BCG、MR、水痘などがこれにあたります。
一方の任意接種は、法的な義務がなく、原則として自己負担です。ただ「任意=受けなくていい」という意味ではありません。おたふくかぜ(ムンプス)のように、日本小児科学会が接種をすすめているものも含まれます(予防接種スケジュール/日本小児科学会)。費用のしくみが違うだけ、と考えるとわかりやすいですね。
ちなみに、ワクチンには「生ワクチン」と「不活化ワクチン」があり、種類によって次の接種までの間隔の考え方が少し変わります。それぞれの仕組みは 何を予防しているのか?〜生ワクチン編〜 でもふれています。
2024年からここが変わった——五種混合ワクチン導入のポイント
2024年4月から、五種混合ワクチンが定期接種になりました。これまで別々だった四種混合とHibワクチンが1本にまとまり、接種回数が計8回から4回へと整理されています。 お子さんの負担も、通院の手間も減ったのが大きな変化です。
五種混合ワクチンは、ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ・Hib(ヒブ)の5つを1本で予防します。対象は生後2か月から生後90か月(7歳半)未満。標準的には、生後2〜7か月のあいだに3〜8週間隔で3回(初回)、その後6〜18か月あけて1回(追加)の計4回です(5種混合ワクチン/厚生労働省)。
もうひとつ知っておきたいのが、小児用肺炎球菌ワクチンの変更です。2024年10月から、原則としてPCV20(20価)が使われるようになりました。より多くの種類の肺炎球菌をカバーできるようになっています(子どもの肺炎球菌ワクチン/厚生労働省)。制度は年ごとに見直されるので、最新版は 日本の予防接種スケジュール最新版/JIHS で確認すると安心です。
月齢別スケジュール|生後2か月〜就学前まで何をいつ打つ?
予防接種のスタートは「生後2か月の誕生日」です。日本小児科学会(KNOW-VPD)は、生後2か月になったらロタ・五種混合・小児用肺炎球菌・B型肝炎をまとめて受ける「ワクチンデビュー」をすすめています。 ここを逃さないことが、その後のスケジュール全体をスムーズにします。
生後2か月〜6か月ごろ(最初の山場)
この時期は接種が集中します。ロタウイルス・五種混合・小児用肺炎球菌・B型肝炎を、同時接種で進めるのが一般的です(予防接種スケジュール/KNOW-VPD)。とくにロタウイルスは初回の期限が生後14週6日までと決まっているので、早めの開始が大切です(ロタウイルスワクチン/厚生労働省)。B型肝炎は1回目を生後2か月、2回目を生後3か月、3回目を生後7〜8か月が標準です(B型肝炎ワクチン/厚生労働省)。
生後5か月〜1歳ごろ
BCGは、生後5か月〜8か月未満に1回受けます。標準は生後5か月から。上腕にスタンプ法で接種する、あの独特な見た目のワクチンです(BCGワクチン/厚生労働省)。このあいだに、五種混合や肺炎球菌の初回シリーズも続けて受けていきます。
1歳〜就学前
1歳になると、MR(麻しん風しん混合)第1期と水痘(みずぼうそう)が始まります。MR第1期は1歳の1年間に1回(MRワクチン/厚生労働省)。水痘は生後12〜36か月に2回受けます(水痘ワクチン/厚生労働省)。3歳からは日本脳炎、そしてMR第2期は小学校入学前の1年間(5〜7歳未満)に受けます。
同時接種って安全?日本小児科学会の見解とメリット
同時接種は、世界中で長年行われている安全な方法です。日本小児科学会は2020年改訂の見解で、一度に接種できるワクチンの本数に「原則として制限はない」と明示しています。 何本も一度に打つと聞くと不安になりますが、根拠をもって整理してみましょう。
同時接種をすすめる理由は、接種のタイミングを逃しにくくし、子どもを早く守れるからです。日本小児科学会は、個々のワクチンの有効性や副反応の頻度に、同時接種による相互の干渉は認められないとしています(予防接種の同時接種に対する考え方/日本小児科学会)。何本かに分けて通うより、受け忘れも減らせるんですね。
「免疫に負担がかからないの」という心配もよく聞きます。KNOW-VPDは、同時接種で使う免疫は、子どもがもっている免疫力全体のごく一部(約0.1%程度)にすぎないと説明しています(同時接種の必要性・安全性/KNOW-VPD)。とはいえ、何本受けるかや組み合わせは、お子さんの体調を見ながらかかりつけ医と相談して決めて大丈夫です。
まろんの臨床メモ: 「一度にこんなに打って、かわいそう」という声を、外来でも本当によく聞きます。お気持ちはよくわかります。ただ、回数を分けるほど通院が増え、そのたびに緊張する時間も増えてしまうんですよね。小児科で見てきた中では、同時接種で受けたお子さんも、1本ずつのお子さんも、接種後の様子に大きな差を感じることは少なかったです。打つ前に「今日は何を受けるか」をメモして母子手帳と照らすと、受け忘れや重複を防ぎやすくなります。接種後は会場で30分ほど様子を見て、帰宅後も当日は機嫌と熱を気にかけてあげてくださいね。
任意接種も大切|おたふくかぜ・インフルエンザなど忘れずに
任意接種は自己負担ですが、「受けなくていい」という意味ではありません。とくにおたふくかぜは、日本小児科学会が1歳と就学前の2回接種をすすめているワクチンです。 定期接種のスケジュールに、忘れず組み込んでおきたいところです。
おたふくかぜ(ムンプス)は、感音性難聴(おたふくかぜによる難聴)や無菌性髄膜炎などの合併症を防ぐ目的で、日本小児科学会が2回接種を推奨しています(予防接種スケジュール/日本小児科学会)。1回目はMRや水痘と同じ1歳ごろ、2回目は小学校入学前が目安です。MRや水痘と時期が重なるので、一緒に計画すると組みやすいですよ。
インフルエンザは、毎年流行期の前に受ける季節性のワクチンです。スケジュールは年によって少しずつ見直されるため、最新版を公的情報で確認するのがいちばん確実です(日本の予防接種スケジュール最新版/JIHS)。なお、2026年4月版では2価・4価のHPVワクチンが定期接種から除かれ、9価のみの推奨になるなど、年ごとの改訂もあります(日本小児科学会)。
スケジュールが崩れたときは?打ち忘れ・遅れた場合の立て直し方
スケジュールが遅れても、あわてなくて大丈夫です。日本小児科学会は「キャッチアップスケジュール」を公開していて、接種時期を逃した場合の立て直し方を示しています。 体調不良や里帰りで予定がずれるのは、よくあること。まずはかかりつけ医に相談しましょう。
打ち忘れや間隔の乱れに気づいたら、自己判断で詰め込もうとせず、かかりつけ医に相談するのが安全です。日本小児科学会のキャッチアップスケジュール(2026年4月17日更新)は、肺炎球菌などの最新の改訂も反映されています(予防接種キャッチアップスケジュール/日本小児科学会)。定期接種は、対象年齢の期間内であれば公費で受けられる場合があります。
【予防接種 接種後・打ち忘れの相談チェック】
- 🚨 すぐに相談・受診(当日・夜間でも)
- 接種後30分以内に、じんましん(広範囲)・顔や唇の腫れ・呼吸が苦しそう・ぐったりして反応がおかしい(アナフィラキシーのサイン。接種会場か救急へ)
- ロタウイルスワクチンのあと1〜2週間以内に、突然激しく泣く・繰り返す嘔吐・血便・顔色が悪くぐったりする(腸重積のサイン)
- けいれんがある・呼びかけへの反応が明らかに弱い
- ⚠️ 早めに相談(日中の診療時間内に)
- 接種後2〜3日を超えても高熱が続く、または接種部位が著しく腫れて広がる
- 機嫌が戻らず、食欲・水分が普段よりかなり落ちている
- 打ち忘れや接種間隔の乱れに気づいた(立て直しの相談を)
- 📅 家庭で様子を見てよい
- 接種当日〜翌日の微熱・接種部位の軽い赤み・腫れで、機嫌や食欲は保たれている
- 少しぐずるが、いつもどおり眠れて水分もとれている
- 接種部位を痛がるが、翌日には和らいできている
接種後の発熱や腫れの具体的なケアは 予防接種後の発熱・腫れケア|小児科ナースが教える対処法 にまとめています。判断に迷うときは #8000(子ども医療電話相談) も使えます。「これくらいで相談していいのかな」とためらわなくて大丈夫です。
まとめ — まずは生後2か月、迷ったら一緒に組み立てましょう
母子手帳の予防接種ページを前に、種類の多さで頭がいっぱいになる気持ち、本当によくわかります。でも、スケジュールには標準的な順番と目安の時期がきちんとあり、ひとつずつ進めれば大丈夫です。
いちばんの目安は、生後2か月になったら早めにスタートすること。ロタ・五種混合・肺炎球菌・B型肝炎を同時接種で進め、1歳でMR・水痘、3歳から日本脳炎、就学前にMR第2期——と続いていきます。同時接種は学会が安全性を示している方法で、受け忘れを防ぐ助けになります。そして、遅れても立て直せます。
たくさんのワクチンを管理する数年間は、保護者さんも気をつかいますよね。どうか、一人で抱え込まないでください。何を、いつ、どの順番で受けるか迷うときは、かかりつけ医や#8000に、遠慮なく相談していいんです。あとで見返せるように、このページを保存しておくと安心ですよ。一緒に組み立てていきましょうね。
予防接種は生後いつから始めればよいですか?
生後2か月になったらすぐに始めるのが理想です。ロタウイルス・五種混合・小児用肺炎球菌・B型肝炎の同時接種が日本小児科学会(KNOW-VPD)ですすめられています。ロタウイルスの初回は生後14週6日が期限のため、早めに受けることが大切です。
同時接種は安全ですか?何本まで一度に打てますか?
日本小児科学会は2020年改訂の見解で「本数に原則制限なし」と示しています。個々のワクチンの有効性や副反応頻度に相互の干渉は認められておらず、世界中で長年行われています。免疫への負担は、子どもの免疫力全体のごく一部とされています。
定期接種と任意接種はどう違いますか?
定期接種は予防接種法に基づき国・自治体が費用を負担し、対象年齢内は原則無料で受けられます。任意接種は法的義務がなく自己負担ですが、おたふくかぜなど日本小児科学会がすすめるワクチンも含まれます。費用のしくみが違うと考えるとわかりやすいです。
スケジュールが遅れてしまったときはどうすればよいですか?
日本小児科学会がキャッチアップスケジュール(2026年4月更新)を公開しています。接種時期を逃しても、定期接種の対象年齢内なら公費で受けられる場合があります。自己判断で詰め込まず、打ち忘れに気づいたら早めにかかりつけ医に相談しましょう。
2024年以降に予防接種の制度で変わったことはありますか?
2024年4月から五種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ・Hib)が定期接種となり、従来の計8回が4回に整理されました。また2024年10月から、小児用肺炎球菌ワクチンは原則PCV20(20価)が使われるようになっています。
参考文献
- 予防接種・ワクチン情報 — 厚生労働省
- 5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)— 厚生労働省
- ロタウイルスワクチン(接種期限・腸重積の注意)— 厚生労働省
- 予防接種スケジュール(一般向け)2026年4月1日版 — 日本小児科学会
- 予防接種の同時接種に対する考え方(2020年11月改訂)— 日本小児科学会
- 予防接種キャッチアップスケジュール(2026年4月更新)— 日本小児科学会
- 予防接種スケジュール(2026年4月版)— KNOW-VPD(日本小児科学会運営)
- 同時接種の必要性・安全性 — KNOW-VPD
- 日本の予防接種スケジュール最新版(2026年6月1日版)— 国立健康危機管理研究機構(JIHS)


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