予防接種後の発熱・腫れケア|小児科ナースが教える対処法

予防と健康管理

「予防接種のあと、熱が出たらどうしよう…」「腫れてきたけど、これって大丈夫?」予防接種を受けたあとは、副反応が気になって不安になりますよね。

でも安心してください。予防接種後の発熱や腫れの多くは、体がワクチンに反応して免疫をつくっている証拠。ほとんどの場合、1〜2日で自然に回復します。

この記事では、小児科で7年働いてきた看護師ママのわたしが、接種後の正しい過ごし方と、熱が出たときの安心ケアをお伝えします。

この記事でわかること

  • 予防接種後によくある副反応の種類と、出やすい時期
  • 接種当日の入浴・運動・外出はOK?具体的な過ごし方
  • 発熱したときの家庭でできるケア方法
  • 接種部位が腫れたときの対処法
  • 「すぐ受診」「様子見でOK」の見分け方

予防接種後の副反応ってどんなもの?

よくある副反応の種類

予防接種後に見られる副反応は、大きく分けて2種類あります。

局所反応(接種した部分に出る症状)として、接種部位の赤み・腫れ・痛み・しこり(硬結)があります。これらは最も多い副反応で、ワクチンの種類によっては数十%のお子さんに見られることもあります。

全身反応としては、発熱・倦怠感・不機嫌・食欲低下・眠気などがあります。発熱は38℃前後のことが多く、通常24時間以内に下がることがほとんどです。

副反応が出やすい時期

副反応が出るタイミングは、ワクチンの種類によって異なります。

不活化ワクチン(四種混合・肺炎球菌・Hib・日本脳炎・B型肝炎など)の場合は、接種当日〜翌日に症状が出て、多くは24時間以内に落ち着きます。

生ワクチン(MR・水痘など)の場合は、接種後5日〜2週間ほど経ってから発熱などが出ることがあります。これはワクチンに含まれる弱毒化されたウイルスが体内で増えるためで、正常な反応です。

特に注意が必要なのは接種後30分以内。アナフィラキシー(重いアレルギー反応)の多くはこの時間帯に起こるため、接種会場で様子を見てから帰宅するようにしましょう。

2回目以降は副反応が出やすい?

実は、2回目以降の接種では副反応が出やすくなる傾向があります。これは1回目の接種で免疫がつき始めているからで、体がしっかり反応している証拠ともいえます。

たとえば肺炎球菌ワクチンでは、発熱の頻度が1回目で約10%、4回目では約40%に上がるというデータもあります。「前回は何ともなかったのに…」と驚くかもしれませんが、想定内の反応ですので心配しすぎなくて大丈夫ですよ。

接種当日・翌日の過ごし方

入浴はしてもいいの?

結論からお伝えすると、入浴は問題ありません。1994年の予防接種法改正以降、接種当日の入浴は認められています。

ただし、いくつかのポイントを押さえておきましょう。

  • 接種後1時間以上経ってから入浴する
  • 接種部位をゴシゴシこすらない
  • 長湯は避け、さっと済ませる
  • 発熱(37.5℃以上)や強い倦怠感があるときは控える

運動や外出はどうする?

接種当日の激しい運動は避けましょう。水泳やサッカー、マラソンなど息が上がるような運動・習い事は控えてください。

一方、公園で軽く遊ぶ、歩いて帰るといった日常的な活動は問題ありません。翌日以降は、お子さんの体調を見て普段通りの生活に戻して大丈夫です。

接種部位のケア

昔は「接種後はよくもんでください」と言われていましたが、今はもむ必要はありません。薬液は自然に吸収されますし、強くもむとかえって炎症や内出血がひどくなることがあります。そっとしておいてあげてくださいね。

発熱したときの家庭ケア

まずは落ち着いて様子を見ましょう

予防接種後の発熱は、免疫がしっかり働いている証拠でもあります。38〜39℃程度の熱が出ても、お子さんの機嫌が比較的よく、水分が取れていれば、慌てなくて大丈夫。安静にしていれば、多くの場合1〜2日で熱は下がります。

水分補給を最優先に

発熱時に最も大切なのは水分補給です。湯冷まし、麦茶、経口補水液などをこまめに少量ずつ飲ませてあげてください。一度にたくさん飲ませようとせず、スプーンで少しずつでもOKです。

食欲がないときは無理に食べさせなくても大丈夫。水分さえ取れていれば、1〜2日食事量が減っても心配いりません。

解熱剤の使い方

解熱剤を使うかどうかの目安は、熱の高さよりも「お子さんがつらそうかどうか」で判断します。

一般的には38.5℃以上で、ぐったりしている・眠れない・水分が取れないといった場合に使用を検討します。小児に使える解熱剤はアセトアミノフェン(カロナールなど)が基本です。用法・用量を守って使いましょう。

注意していただきたいのは、生後3か月未満の赤ちゃんの発熱。この月齢では解熱剤の使用は推奨されておらず、発熱があれば必ず受診が必要です。

また、厚生労働省は「症状が出る前に予防的に解熱剤を使うことは推奨されていない」としています。副反応が心配だからといって、熱が出る前から飲ませるのは避けてくださいね。

効果的な冷やし方

おでこに貼る冷却シート(冷えピタなど)は気持ちよさを感じることはあっても、実は体温を下げる効果はほとんどありません

効果的に冷やすなら、太い血管が通っている場所を狙いましょう。

  • 首の横(首筋)
  • わきの下
  • 足の付け根(そけい部)

保冷剤や氷枕をタオルで包んで当ててあげてください。直接肌に当てると冷たすぎて嫌がったり、凍傷の原因になることもあります。お子さんが嫌がる場合は、無理に冷やす必要はありませんよ。

接種部位が腫れたときの対処法

基本は「見守り」で大丈夫

接種部位の赤みや腫れは、最も多い副反応です。見た目は心配になりますが、ほとんどの場合3〜4日で自然に治まります

硬くなったしこり(硬結)ができることもありますが、これも正常な反応です。数週間〜数か月残ることもありますが、だんだん小さくなっていきますので心配いりません。

腫れがひどいときは冷やしてあげて

腫れが強く、熱を持っているときは冷やすと楽になります。保冷剤をタオルで包んで、優しく当ててあげましょう。

ただし、自己判断で塗り薬を使うのは避けてください。気になる場合は、接種した医療機関に相談しましょう。

どこまでの腫れなら様子見でOK?

目安として、肘を超えない範囲の腫れであれば様子見で問題ありません。腕全体に広がったり、肘や肩を超えて腫れが広がる場合は、受診を検討してください。

こんなときは受診を

🚨 今すぐ救急受診・救急車を呼ぶべき症状

以下の症状はアナフィラキシー(重いアレルギー反応)の可能性があります。特に接種後30分以内に起こりやすいので、すぐに対応してください。

  • 呼吸が苦しそう、ゼーゼーする、声が出にくい
  • 全身にひどいじんましんが広がる
  • 顔や唇、舌が急にはれる
  • 顔色が悪い(蒼白)、ぐったりしている
  • 意識がもうろうとしている
  • 嘔吐が止まらない

このような症状があれば、迷わず救急車を呼んでください。ぐったりしている場合は、仰向けに寝かせて足を少し高くしてあげましょう。

⚠️ 当日〜翌日に受診すべき症状

  • ぐったりしていて、呼びかけへの反応が弱い
  • 水分がまったく取れない
  • 発熱が24時間以上続いている
  • 生後3か月未満で発熱がある(必ず受診)
  • 泣き声が弱々しい、ミルクや母乳の飲みが極端に少ない
  • おしっこが半日以上出ていない
  • 腫れが肘を超えて広がっている

✅ 様子を見てよい軽度の副反応

以下の症状は正常な免疫反応で、1〜2日で自然に回復することがほとんどです。

  • 38〜39℃程度の発熱(24時間以内に下がる傾向)
  • 接種部位の赤み・腫れ・しこり(肘を超えない範囲)
  • 不機嫌、ぐずり
  • 倦怠感、だるそうにしている
  • 食欲が少し落ちている
  • いつもより眠そう

困ったときの相談窓口

夜間や休日で迷ったときは、以下の相談窓口を活用してください。

  • #8000(子ども医療電話相談):小児科医や看護師に電話で相談できます
  • #7119(救急安心センター):救急受診の判断に迷うときに

まとめ

  • 予防接種後の発熱や腫れの多くは、1〜2日で自然に回復する正常な反応です
  • 接種当日の入浴はOK。激しい運動は避け、接種部位はもまずにそっとしておきましょう
  • 発熱時は水分補給を最優先に。解熱剤は「つらそうかどうか」で判断を
  • 呼吸困難・全身のじんましん・ぐったりしているなどの症状は、すぐに救急受診を
  • 判断に迷ったら#8000に電話。心配なときは遠慮なく受診してくださいね

副反応が出ると不安になりますが、ほとんどの場合は軽い症状で済みます。「いつもと様子が違う」「なんだか心配」と感じたら、遠慮なくかかりつけ医に相談してくださいね。一人で抱え込まなくて大丈夫ですよ。

📚 参考文献・引用元

⚠️ ご注意(免責事項)

  • 本記事は情報提供を目的としており、医師の診断・治療の代替となるものではありません。
  • お子さまの症状や状態には個人差があります。気になる症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。
  • 解熱剤の使用については、かかりつけ医の指示に従ってください。
いつもシェアして下さりありがとうございます!少しでも色んな人に知識が行き渡りますように...!

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