小児科看護師 まろん 科学的育児 × AI活用メモ ♥ まろんとつながる

子どもの中耳炎の症状と受診目安|耳を痛がるサインを看護師が解説

子どもの中耳炎の症状と受診目安|耳を痛がるサインを看護師が解説 症状とケア

かぜが治りかけてきたと思ったら、夜になって急に耳を痛がって泣き出した——。あるいは、まだ言葉が出ない赤ちゃんが、しきりに耳を触って機嫌が悪い。そんなお子さんを前にすると、どうしてあげたらいいのか、焦ってしまいますよね。

子どもの中耳炎は、かぜの後にとても多い病気のひとつです。とくに耳管(じかん)という管の構造から、小さなお子さんほどかかりやすいことが知られています。今この記事を開いてくださった保護者さんも、「これって中耳炎かな」「病院は何科に行けばいいんだろう」と迷っているところかもしれません。

まず、怖がりすぎなくて大丈夫です。中耳炎の多くは、適切に治療すればよくなっていくことが多い病気です。ただ、痛みが強かったり、繰り返したり、聞こえに影響が残ることもあるので、見逃したくないサインはあります。この記事では、年齢別の症状の見分け方、受診の目安、何科に行くか、登園のめやすまで、一緒に整理していきますね。

医療情報について: このページは、家庭で確認しやすい一般的な情報を、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会や小児急性中耳炎診療ガイドライン、国立病院機構などの情報をもとに整理したものです。私は看護師であり、医師ではありません。診断・治療の代わりにはなりません。お子さんの診断は、医療機関での確認が基本です。

耳だれが出ている・耳の後ろが腫れて押すと痛がる・高熱が続いてぐったりしている・顔の動きが左右で違う・強いめまいや繰り返す嘔吐がある——こうしたサインがあるときは、早めに受診してください。とくに生後3カ月未満の赤ちゃんに38度以上の発熱があるときや、ぐったり・意識がもうろうとして首が硬いといったときは、急いで医療機関に相談しましょう。判断に迷うときは、子ども医療電話相談 #8000 にも相談できます。

要点: 子どもの急性中耳炎は、かぜに続いて耳の奥に炎症が起こる病気です。家庭で見るポイントは3つ。①サインに気づく(耳の痛み、耳だれ、発熱。赤ちゃんは耳を触る・不機嫌・夜泣きが目安)、②受診先を選ぶ(基本は耳鼻科、近くになければ小児科でも対応可)、③痛みが消えても通院を続ける(中耳に液体が残ることがあるため医師の指示どおりに)。

中耳炎とは?かぜから耳に炎症が広がる仕組み

急性中耳炎は、かぜなどで鼻やのどに入ったウイルス・細菌が、耳管を通って中耳(鼓膜の奥の空間)に達し、炎症を起こす病気です。 だから多くは、かぜをひいた数日後に発症します。

耳の奥には、鼓膜のさらに内側に「中耳」という小さな空間があり、ここは「耳管」という細い管で鼻の奥(上咽頭)とつながっています。かぜをひくと、この耳管を通って鼻やのどのばい菌が中耳に入り込み、膿(うみ)がたまって炎症を起こします。これが急性中耳炎です(急性中耳炎/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)。

主な症状は、耳の痛み・発熱・耳だれ(耳からの膿や液体)です。中耳にたまった膿が鼓膜を圧迫すると、ズキズキとした強い痛みが出ます。圧が高まって鼓膜が破れると膿が外に出て、耳だれとして現れることもあります。痛みは鼓膜が破れると一時的にやわらぐことがありますが、それで治ったわけではないので注意が必要です(子供の中耳炎ってどんな病気?/四国こどもとおとなの医療センター)。

子どもの病気というイメージが強い中耳炎ですが、それには理由があります。次の章で、なぜ小さなお子さんほどかかりやすいのかを見てみましょう。

子どもが中耳炎になりやすい理由(耳管の解剖学的特徴)

小さなお子さんが中耳炎になりやすいいちばんの理由は、耳管の形にあります。子どもの耳管は大人より短く、太く、水平に近いため、鼻やのどのばい菌が中耳に入りやすいのです。

大人の耳管は、鼻の奥から中耳に向かって斜め上に傾いています。一方、乳幼児の耳管は短くて太く、ほぼ水平に近い角度です。そのため、かぜで鼻やのどにいるウイルス・細菌が、耳管を逆流するように中耳へ届きやすくなります(四国こどもとおとなの医療センター)。

さらに、小さなお子さんは免疫がまだ発達途中で、かぜをひく回数も多いもの。鼻水をうまくかめないことも、中耳炎が増える一因です。保育園や幼稚園に通っていたり、年上のきょうだいがいたりすると、かぜをもらう機会が多く、中耳炎を繰り返しやすいことも知られています(反復性中耳炎/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)。

だからこそ、日ごろの鼻水ケアが中耳炎の予防につながります。鼻水をこまめに吸ってあげると、耳管へのばい菌の流れ込みを減らせると考えられています。鼻吸引のやり方や道具選びは、電動鼻水吸引器の選び方(中耳炎予防のための鼻水ケア) もあわせてどうぞ。

急性中耳炎の症状|年齢別サインの見分け方(乳幼児・幼児・学童)

中耳炎のサインは年齢で大きく変わります。言葉で「耳が痛い」と言えない赤ちゃんは、耳を触る・不機嫌・夜泣きといった行動で気づくことが多いです。 月齢・年齢ごとに、見るポイントを整理しておきましょう。

乳幼児(言葉で痛みを伝えられない時期)

赤ちゃんは痛みを言葉にできないため、耳に手をもっていく・しきりに耳を触る・耳を引っぱる・頭を振るといった動作がサインになります。あわせて、機嫌が悪い・ぐずる・夜泣きが急に増える・ミルクや母乳の飲みが悪いといった変化も手がかりです。発熱を伴うことも多くあります(四国こどもとおとなの医療センター)。

ただし、耳を触る動作は、眠いときや耳に興味が出てきた時期にもよく見られます。「耳を触る=必ず中耳炎」ではありません。かぜのあと・発熱と一緒・急に夜泣きが増えたといった組み合わせのときに、中耳炎を疑う目安にしてくださいね。

幼児・学童(症状を伝えられる時期)

言葉が出てくると、「耳が痛い」「耳の奥がへん」「聞こえにくい」と自分で訴えられるようになります。耳の痛み・耳のつまった感じ・聞こえの悪さ・発熱・耳だれが典型的なサインです。テレビの音を大きくする、呼びかけへの反応が鈍い、というときは、中耳に液体がたまって聞こえが落ちているサインかもしれません(小児の急性中耳炎/MSDマニュアル家庭版)。

発熱を伴うことが多いので、熱の見方とあわせて確認しておくと安心です。年齢別の発熱の受診目安は、子どもの発熱の受診目安(年齢別) でくわしく整理しています。

こんなサインは要注意?すぐに受診すべき危険サイン

多くの中耳炎は数日で落ち着いていきますが、まれに合併症を起こすことがあります。耳の後ろの腫れ・顔の動きの左右差・強いめまいや嘔吐は、見逃したくないサインです。 怖がりすぎる必要はありませんが、ここだけは知っておきましょう。

とくに注意したいのが、耳の後ろ(耳介の付け根あたり)が腫れて赤くなり、押すと痛がるときです。これは中耳の炎症が周囲の骨に広がる「乳様突起炎」のサインのことがあり、早めの受診が必要とされています。また、顔の片側が動きにくい・口元がゆがむ(顔面神経麻痺の疑い)、強いめまいや繰り返す嘔吐(内耳炎の疑い)も、すぐに相談したいサインです(MSDマニュアル家庭版)。

さらに、ぐったりして反応が鈍い・意識がもうろうとする・高熱とともに首が硬いときは、髄膜炎などのサインの可能性もあり、急いで受診が必要です。次の章の受診目安チェックも、家庭での判断の参考にしてくださいね。

まろんの臨床メモ: 「耳だれが出て、かえって熱も下がって元気になったから、もう治ったのかな」——小児科でも、こうしたご相談はよくあります。じつは、耳だれは鼓膜が破れて膿が出たサインで、治ったわけではないことが多いんです。痛みがやわらいでも、中耳の炎症は続いていることがあります。だから、耳だれが出たらむしろ受診のタイミング。それと、お子さんが耳を痛がったとき、私たちがよく確認するのは「耳の後ろを押して痛がらないか」。耳の後ろの腫れや痛みは、見逃したくないサインなので、おうちでも一度そっと触れて確認してみてくださいね。

受診の目安と何科に行くか(耳鼻科 vs 小児科)

中耳炎の受診は、基本は耳鼻科(耳鼻咽喉科)が第一選択です。鼓膜を直接観察する専門機器があり、中耳の状態を正確に診断・処置できるためです。 近くに耳鼻科がない場合や、まずかかりつけに診てもらいたい場合は、小児科でも対応できます。

耳鼻科では、鼓膜の赤みや膨らみ、中耳にたまった液体の様子を直接確認できます。繰り返す中耳炎や、鼓膜切開・チューブ挿入が必要な場合は、耳鼻科への受診が必要です。かかりつけ小児科でも初回の診断や抗菌薬の処方はできますが、症状が重い・繰り返すときは耳鼻科を紹介してもらいましょう(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)。

夜間や休日に痛みが出てつらいときは、まず患部を冷たいタオルなどで冷やし、アセトアミノフェン系の解熱鎮痛薬で痛みをやわらげて、翌朝に受診する方法もあります。軽症の急性中耳炎では、2024年版の診療ガイドラインでも、まず3日ほど経過を見て、改善がなければ抗菌薬を始める考え方が示されています(小児急性中耳炎診療ガイドライン2024年版 改訂のポイント/J-STAGE)。痛みが消えても中耳に液体が残ることがあるため、医師が「治った」と言うまで通院を続けることが大切です。下の表を、家庭での判断の目安にしてください。

【中耳炎 受診判断チェック】

  • 🚨 すぐに受診(当日・夜間でも)
    • 耳の後ろが腫れて赤く、押すと痛がる(乳様突起炎の疑い)
    • 耳だれが出て、高熱があり、ぐったりしている
    • 顔の片側が動かない・口元がゆがむ(顔面神経麻痺の疑い)
    • 強いめまい・繰り返す嘔吐に高熱を伴う(内耳炎の疑い)
    • 生後3カ月未満の赤ちゃんで38度以上の発熱がある
  • ⚠️ 早めに相談(日中の診療時間内に受診を)
    • 耳の痛みを訴える・耳を触る動作があり、発熱を伴う
    • 耳だれが出ているが、全身状態は比較的良好
    • 発熱が2〜3日続いていて、耳を気にする様子がある
    • 原因のはっきりしない不機嫌・夜泣きが続いている
  • 📅 家庭で様子を見てよい
    • 痛みがなく全身状態がよく、すでに受診の予定がある
    • 痛みは引いたが治療中で、医師の指示で経過観察している
    • かぜ症状のみで、耳の症状はとくに見られない

迷ったら #8000(子ども医療電話相談) も使えます。「これくらいで相談していいのかな」とためらわなくて大丈夫です。けいれんを伴う発熱が心配なときは、熱性けいれんの対応と救急受診目安 も参考になります。

保育園・幼稚園はいつから登園できる?

急性中耳炎そのものには、学校保健安全法に基づく「出席停止」の決まりはありません。発熱がなく、機嫌がよく食事や水分がとれて、全身状態が良好であれば、登園できることが多いです。

中耳炎は、インフルエンザのように出席停止期間が法律で定められた感染症ではありません(学校・幼稚園・保育所において予防すべき感染症の解説 2025年4月改訂版/日本小児科学会)。そのため、原因のかぜ症状が落ち着いていれば、登園を止める必要は基本的にありません。

ただし、中耳炎の多くはかぜ(上気道炎)をきっかけに起こります。発熱・鼻水・咳といったかぜ症状が続いている間は、ほかの子にうつる可能性があります。登園の判断は、①発熱がない(平熱)、②機嫌がよく食事・水分がとれる、③全身状態が良好、の3点が目安です。医師から登園許可や意見書の指示があったときは、それに従ってください。園や自治体で運用が違うこともあるので、通っている園に確認すると安心です。感染症ごとの登園のめやすや受診の判断は、症状・受診判断ガイド にもまとめています。

繰り返す中耳炎・滲出性中耳炎への対応

過去6カ月以内に3回以上、または1年以内に4回以上の急性中耳炎を繰り返すものを「反復性中耳炎」といいます。2歳未満の乳幼児に多く、繰り返す場合は耳鼻科で鼓膜チューブ挿入術を検討することがあります。

反復性中耳炎は、保育園通園や年上のきょうだいの存在が危険因子とされています。2歳未満に多く見られ、何度も繰り返すと通院や治療の負担も大きくなりますよね。繰り返す場合は、かかりつけの耳鼻科に早めに相談しましょう(反復性中耳炎/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)。

もうひとつ知っておきたいのが「滲出性中耳炎」です。これは急性中耳炎のような強い痛みや発熱はないものの、中耳に液体がたまった状態が続き、聞こえが悪くなるものです。痛みがないぶん気づきにくく、「テレビの音が大きい」「呼んでも返事が遅い」「3カ月以上聞こえが悪そう」といったサインで見つかることがあります。言葉の発達に影響することもあるため、気になるときは耳鼻科で確認してください(滲出性中耳炎/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)。だからこそ、急性中耳炎で「痛みが引いたから」と通院をやめず、医師の指示どおりに最後まで診てもらうことが大切なんです。

まとめ — サインに気づき、最後まで通院を

耳を痛がって泣くお子さんや、理由のわからない夜泣きを前にすると、本当に心配になりますよね。でも、子どもの中耳炎の多くは、適切に受診して治療すればよくなっていくことが多い病気です。

家庭で大切にしたいのは3つ。サインに気づくこと(赤ちゃんは耳を触る・不機嫌・夜泣き、年長の子は耳の痛みや聞こえの悪さ)、受診先を選ぶこと(基本は耳鼻科、近くになければ小児科でも対応可)、そして痛みが消えても最後まで通院すること。中耳に液体が残ると、聞こえに影響することがあるからです。耳の後ろの腫れ・顔の動きの左右差・強いめまいは、迷わず受診したいサインです。

夜中に耳を痛がるお子さんに付き添う時間は、保護者さんもつらいですよね。どうか、一人で抱え込まないでください。判断に迷うときは、#8000やかかりつけ医に、遠慮なく相談していいんです。サインに気づいて、最後まで一緒に見守っていきましょうね。

赤ちゃんが耳を触るのは中耳炎のサインですか?

中耳炎の可能性があります。乳幼児は耳の痛みを言葉で伝えられないため、耳に手をもっていく・しきりに触る・不機嫌・夜泣きが増えるといった行動で気づくことが多いです。発熱を伴う場合は、とくに受診をご検討ください。ただし眠いときにも耳を触ることがあるので、かぜのあとや発熱と一緒のときが目安です。

中耳炎は何科を受診すればよいですか?

基本は耳鼻科(耳鼻咽喉科)です。耳を直接観察する専門機器があり、鼓膜の状態を正確に診断・処置できます。近くに耳鼻科がない場合や、まずかかりつけを受診したい場合は小児科でも対応可能です。繰り返す中耳炎や、鼓膜切開・チューブ挿入が必要な場合は、耳鼻科への受診が必要になります。

中耳炎で保育園に登園してもよいですか?

中耳炎自体には学校保健安全法上の出席停止の決まりはありません。ただし、原因となるかぜ症状がある間は他の子にうつる可能性があります。発熱がなく、機嫌・食事・活動量など全身状態が良好であれば登園できることが多いですが、最終判断は主治医や園に確認してください。

中耳炎は自然に治りますか?

軽症例の一部は自然に軽くなることもありますが、2024年版の診療ガイドラインでは軽症でも3日後の再評価がすすめられ、改善がなければ抗菌薬治療が始まります。「痛みが引いたから」と通院をやめると、慢性化や滲出性中耳炎に移行することがあるため、医師の指示どおりに通院してください。

繰り返す中耳炎(反復性中耳炎)はどう対応しますか?

過去6カ月以内に3回以上、または1年以内に4回以上の急性中耳炎を反復性中耳炎といいます。2歳未満の乳幼児に多く、保育園通園やきょうだいの存在が危険因子です。繰り返す場合は、耳鼻科で鼓膜チューブ挿入術を検討することがあります。かかりつけの耳鼻科に早めに相談してください。


LINE で最新の育児情報をお届けします

小児科看護師まろんが厳選した子育てに役立つ情報を配信中。
新着記事のお知らせ・限定コンテンツをお届けします。

友だち追加する

※ いつでもブロック解除できます

コメント

タイトルとURLをコピーしました