「うちの子、タブレットばかり見てるけど大丈夫かな…」「YouTubeを見せすぎると発達に影響があるって本当?」
こんな不安を抱えているママ・パパは多いのではないでしょうか。私も小児科看護師として働きながら子育てをしていますが、正直なところ、家事の間にちょっとタブレットに頼ってしまうこと、ありますよね。
この記事では、日本小児科学会やWHO(世界保健機関)、アメリカ小児科学会のガイドラインと最新の研究をもとに、タブレットやYouTubeが子どもに与える影響と、上手な付き合い方についてわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- タブレット・YouTubeが子どもの発達に与える影響(言語・睡眠・視力など)
- 年齢別の適切なスクリーンタイムの目安
- 「見せ方」で変わる!親の関わり方のポイント
- 使いすぎのサインと専門家に相談すべきタイミング
- 家庭でできるルール作りの具体例
タブレット・YouTubeが子どもに与える影響とは?
まず知っておいていただきたいのは、スクリーンタイム(画面を見ている時間)の影響は「時間の長さ」だけでなく、「何を見るか」「どう見るか」「いつ見るか」によって大きく変わるということです。
言語発達への影響
約42の研究、18,000人以上の子どもを対象にした大規模な分析によると、スクリーンタイムと言語スキルには小さいながらも負の関連があることがわかっています。特に注意が必要なのは「背景テレビ」、つまりテレビがつけっぱなしになっている環境です。
日本小児科学会の調査では、1日4時間以上テレビを視聴している子どもは、有意語(意味のある言葉)の出現が遅れる傾向が1.3倍になるという結果が出ています。また、子どもの近くで8時間以上テレビがつけっぱなしの家庭では、その遅れが2倍になることも報告されています。
ただし、親と一緒に見たり、教育的なプログラムを視聴したりする場合は、むしろポジティブな影響があるという研究結果もあります。つまり、「見せ方」次第で影響は変わってくるんです。
睡眠への影響
これは私が現場でも実感していることなのですが、スクリーンタイムと睡眠の問題には強い関連があります。67の研究をまとめた分析では、なんと90%の研究でスクリーンタイムと睡眠問題の関連が報告されています。
特に気をつけたいのが「寝る前のスクリーン」です。3〜4歳の子どもを対象にした研究では、就寝1時間前に画面の光を浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニンが69〜99%も抑制されることがわかっています。これは大人の46%と比べてもかなり大きな影響です。
視力への影響
2025年に発表された最新の研究(33万人以上を対象)では、スクリーンタイムが1日1時間増えるごとに近視のリスクが21%増加することが示されました。特にパソコンでの視聴は近視との関連が強いとされています。
ただし、1日2時間以上の屋外活動が近視予防に効果的であることもわかっています。スクリーンタイムを減らすだけでなく、外遊びの時間を確保することが大切です。
社会性・注意力への影響
約16万人の12歳以下の子どもを対象にした分析では、スクリーンタイムと攻撃性やADHD症状などの「外在化問題」に小さいながらも関連があることがわかっています。また、1日2時間以上のスクリーンタイムでADHD関連行動のリスクが1.5倍になるという報告もあります。
ただし、これらは「スクリーンタイムが長いとこうなる」という因果関係を示したものではありません。もともと落ち着きのない子どもにスクリーンを見せる機会が多くなる、という逆の関係もあり得ます。過度に心配しすぎる必要はありませんが、意識しておくことは大切です。
年齢別・適切なスクリーンタイムの目安
では、具体的にどのくらいの時間なら大丈夫なのでしょうか?日本小児科学会、WHO、アメリカ小児科学会のガイドラインをまとめると、以下のようになります。
0〜18ヶ月
ビデオ通話(おじいちゃん・おばあちゃんとのテレビ電話など)を除いて、スクリーンタイムは控えることが推奨されています。この時期は、実際に人と顔を合わせてコミュニケーションをとることが言語発達や社会性の発達にとても重要だからです。
18ヶ月〜2歳
高品質な教育コンテンツを親と一緒に見る場合のみ許容されています。一人で見せるのではなく、「これは何かな?」「〇〇だね」と声をかけながら一緒に楽しむことがポイントです。
2〜5歳
WHOとアメリカ小児科学会は1日1時間以内を推奨しています。日本小児科医会は、テレビ・ゲームを含むすべてのメディア接触時間を1日2時間以内としています。いずれにしても、短いほど良いという考え方は共通しています。
スクリーンフリーにすべき時間・場所
時間の長さだけでなく、「いつ・どこで見るか」も重要です。以下の場面では、できるだけスクリーンを使わないようにしましょう。
- 食事中:食べることに集中できず、肥満のリスクにもつながります
- 就寝前1時間:睡眠の質に大きく影響します
- 授乳中:親子のアイコンタクトやコミュニケーションを大切に
- 子ども部屋:テレビやタブレットは子ども部屋に置かないのがベストです
家庭でできる上手な付き合い方
「完全にゼロにするのは無理…」というのが正直なところですよね。大切なのは、上手に付き合っていくことです。
「共視聴」で効果が変わる!
同じ動画を見るにしても、子どもだけで見せるのと、親と一緒に見るのでは効果が全然違います。研究では、親と一緒に見ながら対話することで、言語発達への悪影響が軽減され、むしろポジティブな効果が生まれることがわかっています。
効果的な共視聴のポイント
- 「それは誰かな?」「次は何が起こると思う?」と質問する
- 画面に出てきたものの名前を一緒に言う
- 「このキャラクターも〇〇が好きなんだね、△△ちゃんと一緒だね」と関連付ける
- 見終わった後に内容について話し合う
コンテンツを選ぶ
速いペースで画面が切り替わる動画や、暴力的な内容は避けましょう。教育的なプログラム(例えばセサミストリートなど)は、15カ国10,000人以上を対象にした研究で、認知・社会的発達にポジティブな効果があることが確認されています。
良いコンテンツの特徴
- 年齢に合った内容とペース
- 参加型・インタラクティブな要素がある
- 教育的な目標がある
- 速すぎない展開
ルールを作って「見える化」する
ネット依存の専門機関である久里浜医療センターでは、以下のようなルール作りを推奨しています。
- ルールは口頭ではなく紙に書いて貼っておく
- 違反したときのペナルティは「翌日は使用禁止」など復旧可能なものに
- 親も同じルールを守る(子どもは親を見ています!)
- できれば購入前・使用開始前にルールを決める
- 定期的にルールを見直す
代わりの活動を用意する
「タブレットダメ!」と言うだけでは、子どもは困ってしまいます。代わりに楽しめる活動を用意しておきましょう。
- 外遊び、散歩、公園(近視予防にも効果的!)
- 絵本の読み聞かせ
- お絵描き、粘土遊び、ブロック
- 一緒に料理やお手伝い
- ごっこ遊び、ボードゲーム
ペアレンタルコントロールを活用する
iPhoneなら「スクリーンタイム」、Androidなら「ファミリーリンク」という機能で、使用時間の制限やアプリの制限ができます。就寝時間や食事時間に自動的にロックがかかるように設定しておくと便利です。
こんなときは専門家に相談を
ほとんどの場合は家庭での対応で大丈夫ですが、以下のような状況が見られる場合は、かかりつけの小児科医や専門家に相談することをおすすめします。
早めに相談したほうがよいケース
- スクリーンを取り上げると、パニックを起こしたり激しく暴れたりする
- スクリーン以外の遊びにまったく興味を示さなくなった
- 睡眠、食事、衛生習慣が著しく乱れている
- 同年齢の子と比べて言葉の発達が遅れているように感じる
- 家庭でのルール作りや制限がまったくうまくいかない
発達面で気になることがあれば
- 言葉が出てこない、増えない
- 呼んでも振り向かない、目が合いにくい
- 同年齢の子と遊べない
- かんしゃくが激しい、切り替えが極端に苦手
これらはスクリーンタイムとは関係なく、発達の専門家に相談したほうがよい症状です。1歳半健診や3歳児健診で相談するか、かかりつけの小児科で相談してみてください。
視力について
- テレビやタブレットに極端に近づいて見る
- 目を細めて見る
- 頭を傾けて見る
これらの症状がある場合は、眼科を受診しましょう。
まとめ
- 2歳未満はスクリーンタイムを控え、2歳以上でも1日1時間以内が目安です
- 大切なのは「時間」だけでなく、「何を見るか」「どう見るか」「いつ見るか」
- 親と一緒に見ながら対話する「共視聴」で、悪影響を軽減できます
- 食事中・就寝前1時間・子ども部屋はスクリーンフリーに
- 屋外活動を1日2時間以上確保することで、近視予防にもなります
- 困ったときは一人で抱え込まず、専門家に相談してください
タブレットやYouTubeは、使い方次第で子どもの味方にも、発達の妨げにもなり得ます。「絶対ダメ!」と神経質になりすぎる必要はありませんが、適切なルールと親の関わりを意識して、上手に付き合っていきたいですね。
心配なことがあれば、遠慮なくかかりつけの小児科で相談してくださいね。
📚 参考文献・引用元
- 1.日本小児科学会「乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です」 [ガイドライン] エビデンス: 高(学会提言)
- 2.日本小児科医会「子どもとメディアの問題に対する提言」 [ガイドライン] エビデンス: 高(学会提言)
- 3.WHO「Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under 5 years of age」 [ガイドライン] エビデンス: 高(国際機関ガイドライン)
- 4.AAP「Media and Young Minds」Policy Statement [ガイドライン] エビデンス: 高(学会ガイドライン)
- 5.Madigan et al. JAMA Pediatrics – Screen Use and Language Skills Meta-analysis [research] エビデンス: 高(メタ分析)
- 6.Digital Screen Time and Myopia: A Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis (2025) [research] エビデンス: 高(メタ分析)
⚠️ ご注意(免責事項)
- 本記事は情報提供を目的としており、医師の診断・治療の代替となるものではありません。
- お子さまの症状や状態には個人差があります。気になる症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。
- スクリーンタイムの推奨時間は目安であり、お子さまの年齢や状況に応じて柔軟に対応してください。


コメント