お子さんの感染症、いつから登園できる?
「熱が下がったけど、明日から保育園に行ってもいいのかな?」「インフルエンザって何日休まないといけないんだっけ?」
お子さんが感染症にかかると、仕事の調整もあって登園のタイミングが気になりますよね。でも、まだウイルスが体に残っている状態で登園させると、ほかのお友達にうつしてしまう可能性があります。
感染症には、それぞれ「登園してもよい基準」が決められています。この記事では、保育園でよくみられる感染症について、いつから登園できるのかをわかりやすくまとめました。
この記事でわかること
- インフルエンザ・RSウイルスなど主要な感染症の登園基準
- 発症日・解熱日の正しい数え方
- 登園許可証(意見書)が必要な感染症
- 登園届(保護者記入)でOKな感染症
- 登園を判断するときの注意点
登園基準って何?なぜ決まっているの?
登園基準とは、感染症にかかった子どもが保育園に登園してもよいとされる目安のことです。
保育園は、0歳から6歳までの乳幼児が長時間一緒に過ごす場所です。まだ免疫機能が未熟な子どもたちが集まるため、感染症が広がりやすい環境にあります。
そのため、「学校保健安全法」や厚生労働省(現・こども家庭庁)の「保育所における感染症対策ガイドライン」で、それぞれの感染症について登園してよい基準が定められています。
この基準は、感染した本人の回復を待つこと、そしてほかの子どもへの感染を防ぐことの両方を考えて作られています。
日数の数え方|発症日・解熱日は含まない
登園基準を正しく理解するために、まず日数の数え方を確認しておきましょう。
基本ルール:発症した日・解熱した日は「0日目」として数えず、その翌日を「1日目」とします。
例:インフルエンザで「解熱後3日経過」の場合
- 月曜日に解熱を確認 → この日は日数に含めない
- 火曜日(1日目)、水曜日(2日目)、木曜日(3日目)の3日間を休む
- 金曜日から登園可能
この数え方を間違えると、まだウイルスが残っている状態で登園させてしまうことになるので、注意が必要です。
【感染症別】登園基準の一覧表
ここからは、保育園でよくみられる感染症について、登園基準をご紹介します。
医師が記入する意見書が必要な感染症
以下の感染症は、感染力が強く、重症化する可能性もあるため、医師の診断と意見書(登園許可証)が必要です。
1. インフルエンザ(鳥インフルエンザ・新型インフルエンザを除く)
登園基準:発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後3日を経過するまで
この2つの条件を両方満たす必要があります。発症してすぐに解熱しても、発症から5日経っていなければ登園できません。逆に、熱が長引いた場合は、解熱後3日経過するまで待ちます。
2. 麻しん(はしか)
登園基準:解熱した後3日を経過するまで
3. 風しん
登園基準:発しんが消失するまで
4. 水痘(水ぼうそう)
登園基準:すべての発しんがかさぶたになるまで
新しい発しんが出なくなっても、すべてがかさぶた化するまでは登園できません。通常、発症から1週間程度かかることが多いです。
5. 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
登園基準:耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫脹が出現してから5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで
腫れが引いていなくても、5日経過して全身状態がよければ登園できます。
6. 結核
登園基準:医師により感染のおそれがないと認められるまで
7. 咽頭結膜熱(プール熱)
登園基準:発熱、充血等の主な症状が消失した後2日を経過するまで
熱、のどの痛み、目の充血などの主な症状がなくなってから2日待ちます。
8. 百日咳
登園基準:特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬療法が終了するまで
9. 腸管出血性大腸菌感染症(O157、O26、O111等)
登園基準:医師により感染のおそれがないと認められるまで
通常、抗菌薬による治療が終了し、48時間あけて連続2回の検便で菌が検出されなければ登園可能です。
10. 流行性角結膜炎
登園基準:感染力が非常に強いため、結膜炎の症状が消失するまで
11. 急性出血性結膜炎
登園基準:医師により感染のおそれがないと認められるまで
12. 侵襲性髄膜炎菌感染症(髄膜炎菌性髄膜炎)
登園基準:医師により感染のおそれがないと認められるまで
保護者が記入する登園届でOKな感染症
以下の感染症は、医師の診断を受けた上で、保護者が登園届を記入することで登園が可能です(園によっては医師の意見書を求める場合もあるので、事前に確認しましょう)。
1. RSウイルス感染症
登園の目安:呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと
RSウイルスには法律で定められた出席停止期間がありません。咳や鼻水などの症状がおさまり、普段どおり元気であれば登園できます。ただし、1歳未満の乳児にとっては重症化リスクがあるため、保育園に必ず報告しましょう。
2. 手足口病
登園の目安:発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること
3. 伝染性紅斑(りんご病)
登園の目安:全身状態が良いこと
発しんが出た時点で感染力はほとんどなくなっています。
4. ヘルパンギーナ
登園の目安:発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること
5. マイコプラズマ肺炎
登園の目安:発熱や激しい咳が治まっていること
6. 感染性胃腸炎(ノロウイルス、ロタウイルス等)
登園の目安:嘔吐、下痢等の症状が治まり、普段の食事がとれること
7. 溶連菌感染症
登園の目安:抗菌薬内服後24〜48時間経過していること
8. ヘルペス性歯肉口内炎
登園の目安:発熱がなく、普段の食事がとれること
登園を判断するときの大切なポイント
基準を満たしていても、無理は禁物
登園基準を満たしていても、お子さんの体調が本調子でない場合は、もう1日様子を見ることをおすすめします。
- 食欲がない
- 元気がなく、ぐったりしている
- 咳がひどく、眠れていない
- 下痢が続いている
こんなときは、無理に登園させず、自宅でゆっくり休ませてあげてください。
兄弟が感染症にかかったときは?
本人に症状がなければ、基本的には登園可能です。ただし、水痘(水ぼうそう)など感染力の強い感染症の場合は、保育園に相談することをおすすめします。
また、本人に発熱や風邪症状がある場合は、念のため登園を控え、受診を検討しましょう。
登園許可証・登園届は園によって異なる
どの感染症で登園許可証(医師の意見書)が必要か、登園届(保護者記入)でよいかは、自治体や園によって対応が異なることがあります。
お子さんが感染症と診断されたら、まず通っている園に連絡し、必要な書類を確認しましょう。
こんなときは受診を
今すぐ救急受診が必要な症状
- 呼吸が苦しそうで、肩で息をしている
- 顔色が悪く、唇や爪が紫色になっている(チアノーゼ)
- ぐったりして反応が鈍い、呼びかけても目を開けない
- けいれんが5分以上続く、または繰り返す
- 生後3か月未満の発熱
当日中に受診すべき症状
- 高熱(38.5℃以上)が続き、水分がとれない
- 嘔吐・下痢がひどく、ぐったりしている
- 発しんが全身に広がり、かゆみが強い
- 目が真っ赤に充血し、目やにが大量に出る
様子を見てもよいが注意が必要な症状
- 微熱(37.5〜38℃程度)だが、元気で水分もとれている
- 鼻水や軽い咳はあるが、食欲もあり機嫌もよい
- 発しんが出ているが、熱はなく元気
ただし、症状が悪化したり、いつもと様子が違うと感じたら、迷わず受診してください。
まとめ
- 感染症ごとに登園基準が決まっているのは、本人の回復と集団感染の予防のため
- インフルエンザは「発症後5日かつ解熱後3日」、水痘は「すべての発しんがかさぶた化」など、感染症によって基準が異なる
- 日数を数えるときは、発症日・解熱日を含めず、翌日を1日目とする
- 登園基準を満たしていても、子どもの体調が本調子でなければ無理に登園させない
- 登園許可証や登園届の必要性は園によって異なるので、事前に確認を
- 迷ったときや心配なときは、かかりつけ医や保育園に相談しましょう
お子さんが感染症にかかると、仕事の調整も大変で焦る気持ちもありますよね。でも、しっかり休ませることが、お子さん自身の回復にも、ほかのお友達への配慮にもつながります。
この記事が、登園のタイミングを判断するときの参考になればうれしいです。心配なことがあれば、一人で抱え込まずに、医療機関や保育園に相談してくださいね。


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