「ちゃんと歯磨きしているのに虫歯ができてしまった…」「食器の共有はやっぱり避けるべき?」そんな不安を抱えていませんか?
乳歯の虫歯は進行が早く、放っておくと永久歯にも影響することがあります。でも大丈夫。正しい知識があれば、虫歯は予防できる病気です。
この記事では、小児科看護師として7年の経験を持つ私まろんが、2023年に更新された最新のガイドラインをもとに、子どもの虫歯予防についてわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 乳歯が虫歯になりやすい理由と原因
- 年齢別の虫歯リスクと注意ポイント
- 2023年最新のフッ素歯磨き剤の正しい使い方
- 家庭でできる効果的な虫歯予防法
- 歯科受診の目安とタイミング
乳歯が虫歯になりやすい理由
乳歯は永久歯より「薄くて弱い」構造
乳歯のエナメル質(歯の表面の硬い層)は、永久歯の約半分の厚さしかありません。そのため、虫歯菌が出す酸に溶けやすく、一度虫歯になると進行も早いのが特徴です。
「乳歯はどうせ生え変わるから…」と思われがちですが、実はこれが大きな誤解。乳歯の虫歯を放置すると、その下で育っている永久歯の形成に悪影響を与えることがあるのです。
虫歯ができる3つの条件
虫歯は、次の3つの条件がそろったときに発生すると考えられています。
①虫歯菌(ミュータンス菌など)
お口の中にいる細菌が、糖分をエサにして強い酸を作り出します。
②糖質(特に砂糖)
虫歯菌のエサになるのは主に砂糖です。摂取量よりも「摂取する回数」が重要で、ダラダラ食べが最もリスクを高めます。
③歯の質や唾液の力
歯の強さや唾液の分泌量には個人差があり、同じケアをしていても虫歯になりやすい子とそうでない子がいます。
「脱灰」と「再石灰化」のバランスがカギ
食事やおやつを食べると、虫歯菌が酸を作り、お口の中は酸性に傾きます。このとき歯の表面からカルシウムなどのミネラルが溶け出す現象を「脱灰(だっかい)」といいます。
一方、唾液の働きでお口の中が中性に戻ると、溶け出したミネラルが歯に戻る「再石灰化」が起こります。
このバランスが崩れて脱灰の時間が長くなると虫歯が進行します。間食の回数が多いと、お口が酸性の時間が長くなってしまうのです。
年齢別の虫歯リスクと特徴
0〜1歳:哺乳瓶う蝕に注意
赤ちゃんの歯は生後6〜9ヶ月頃から生え始めます。この時期に注意したいのが「哺乳瓶う蝕(ボトルカリエス)」です。
ミルクやジュースを哺乳瓶で飲ませたまま寝かせる習慣があると、上の前歯に重度の虫歯ができやすくなります。
歯が生えてきたら、ガーゼで歯を拭く習慣をつけましょう。1歳6ヶ月頃までに哺乳瓶を卒業できると、虫歯リスクを下げられると言われています。
1〜3歳:「感染の窓」と上の前歯ケア
生後19〜31ヶ月頃は「感染の窓」と呼ばれ、虫歯菌がお口に定着しやすい時期です。
この時期の虫歯は上の前歯の歯と歯の間や歯ぐきとの境目にできやすいのが特徴。上唇の内側にあるスジ(上唇小帯)に歯ブラシが当たると痛いので、指で保護しながら磨いてあげてくださいね。
3〜6歳:奥歯と歯間の虫歯が増える時期
この時期はお菓子を覚え、間食の習慣が定着してきます。虫歯ができやすい場所は奥歯の溝と歯と歯の間に変わってきます。
歯ブラシだけでは歯間の汚れは落とせないので、デンタルフロスの使用がおすすめです。お子さん自身で磨く練習を始める時期ですが、仕上げ磨きは8〜10歳頃まで続けることが日本小児歯科学会から推奨されています。
家庭でできる虫歯予防
仕上げ磨きの正しいやり方
仕上げ磨きは、お子さんを膝の上に仰向けに寝かせる姿勢が基本です。
ポイントはこの4つ:
- 歯ブラシは鉛筆持ち(ペングリップ)で
- 毛先を歯にまっすぐ当てる
- 軽い力(150〜200g程度)で小刻みに動かす
- 就寝前は必ず磨く(睡眠中は唾液が減り、虫歯リスクが最も高い)
【2023年最新】フッ素歯磨き剤の使い方
2023年に日本小児歯科学会を含む4学会が、フッ素配合歯磨き剤の推奨を更新しました。0〜5歳でも1000ppmのフッ素濃度が推奨されるようになっています。
| 年齢 | フッ素濃度 | 使用量 | うがい |
|---|---|---|---|
| 歯が生えてから〜2歳 | 1000ppm | 米粒程度(1〜2mm) | 不要(拭き取り可) |
| 3〜5歳 | 1000ppm | グリーンピース程度(5mm) | 少量の水で1回 |
| 6歳以上 | 1500ppm | 歯ブラシ全体(1.5〜2cm) | 少量の水で1回 |
※6歳未満のお子さんには1500ppm(高濃度)の製品は使用しないでください。
間食管理の3つのルール
虫歯予防で最も大切なのは、実は「何を食べるか」より「どう食べるか」です。
- 回数を決める:1日1〜2回、決まった時間に
- ダラダラ食べを避ける:お口が酸性になる時間を短くする
- 虫歯になりにくいおやつを選ぶ:おせんべい、チーズ、果物など
キシリトールは虫歯菌が酸を作れない甘味料です。含有率50%以上でシュガーレスの製品を選ぶと効果的と言われています。
【最新情報】食器の共有について
「虫歯菌がうつるから食器の共有はNG」と言われてきましたが、2023年8月に日本口腔衛生学会が新しい見解を発表しました。
最新の研究では、離乳食開始前から日々のスキンシップを通じて口腔細菌は自然に伝わっていることがわかっています。学会は「食器の共有を避けることで虫歯予防できるという科学的根拠は必ずしも強くない」としています。
虫歯予防で本当に大切なのは:
- 砂糖摂取の管理
- 毎日の仕上げ磨き
- フッ素の活用
この3本柱を意識することが、食器共有を気にするよりも効果的と考えられています。
やってはいけないこと
- 哺乳瓶でジュースやミルクを飲ませたまま寝かせる
- 「乳歯だから」と虫歯を放置する
- 仕上げ磨きを早くやめてしまう(8〜10歳まで継続を)
- 間食をダラダラと与え続ける
こんなときは歯科受診を
今すぐ受診が必要な症状
- 歯が抜け落ちた(外傷):歯を牛乳に浸し、30分〜1時間以内に受診
- 激しい痛みで眠れない・食べられない
- 歯ぐきから膿が出ている
早めに受診したほうがよい症状
- 歯に穴が開いている、黒くなっている
- 歯をぶつけた後、歯の色が変わってきた
- 冷たいもの・甘いものでしみる
次の定期検診で相談してよい症状
- 歯の表面に白っぽい斑点がある(初期虫歯の可能性)
- 歯磨きを嫌がって困っている
- 歯並びが気になる
定期検診の目安
日本小児歯科学会では、乳歯が生えてから1歳までに初めての歯科受診を推奨しています。その後は3〜4ヶ月に1回の定期検診が理想的です。
1歳6ヶ月健診や3歳児健診だけでは間隔が空きすぎるため、歯科医院での定期検診と組み合わせることをおすすめします。
心配なことや迷うことがあれば、遠慮なくかかりつけの歯科医院に相談してくださいね。
まとめ
- 乳歯は永久歯より薄く虫歯になりやすい。放置すると永久歯にも影響することがある
- 虫歯予防の3本柱は「砂糖管理」「仕上げ磨き」「フッ素活用」
- 2023年の新ガイドラインで、0歳から1000ppmフッ素歯磨き剤が推奨されるように
- 食器共有より、日々のケアと間食習慣の見直しが大切
- 1歳までに歯科デビュー、その後は3〜4ヶ月ごとの定期検診を
虫歯は予防できる病気です。完璧を目指さなくても大丈夫。できることから少しずつ取り入れて、お子さんの歯を守っていきましょう。不安なときは一人で抱え込まず、歯科医院に相談してくださいね。
📚 参考文献・引用元
- 1.日本口腔衛生学会「乳幼児期における親との食器共有について」 [ガイドライン] エビデンス: 高(学会公式声明)
- 2.4学会合同「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」(2023年) [ガイドライン] エビデンス: 高(学会合同ガイドライン)
- 3.日本小児歯科学会 こどもたちの口と歯の質問箱 [公式情報] エビデンス: 高(学会公式情報)
- 4.厚生労働省 e-ヘルスネット「う蝕」 [公式情報] エビデンス: 高(政府公式情報)
⚠️ ご注意(免責事項)
- 本記事は情報提供を目的としており、医師・歯科医師の診断・治療の代替となるものではありません。
- お子さまの歯や口腔の状態には個人差があります。気になる症状がある場合は、必ず歯科医院を受診してください。
- フッ素製品の使用については、年齢に応じた濃度と使用量を必ずお守りください。

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