「今日のうんち、なんだかいつもと色が違う…」「緑色のうんちが出たけど大丈夫?」おむつ替えのたびに、お子さんのうんちの色が気になることってありますよね。
実は、うんちの色は子どもの健康状態を知る大切なサインです。特に白っぽいうんちは、早期発見が重要な病気のサインである可能性があります。
この記事では、小児科看護師として7年間働いてきた私まろんが、うんちの色の見分け方から受診の目安まで、エビデンスに基づいてわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 月齢・栄養方法別の「正常なうんちの色」の範囲
- 白・赤・黒など「すぐ受診が必要な色」の見分け方
- 母子手帳の便色カードの正しい使い方
- 緑色のうんちは本当に心配?よくある疑問への回答
- 家庭でできる観察ポイントとケア方法
うんちの色の基本知識|月齢や栄養方法で変わります
赤ちゃんのうんちの色は変化するのが普通です
生まれたばかりの赤ちゃんのうんちは、最初は黒っぽい緑色(胎便)から始まり、数日かけて黄色や茶色に変わっていきます。これは腸内環境が発達していく正常な過程なので、心配いりません。
うんちの色は、胆汁(たんじゅう)という消化液に含まれる色素によって決まります。この色素が腸内で変化することで、黄色から緑色、茶色までさまざまな色になるのです。
母乳とミルクで色が違うのは普通のこと
母乳で育っている赤ちゃんのうんちは、マスタード色(からし色)や黄色が多く、約9割がこの色だと言われています。一方、ミルクで育っている赤ちゃんは、緑色や黄緑色のうんちが7割以上を占めます。
この違いは腸内細菌の種類や胆汁の酸化の程度によるもので、どちらも正常です。「ミルクだから緑色」「母乳だから黄色」と覚えておくと安心ですね。
離乳食が始まると色も変わります
離乳食を始めると、うんちの色は黄褐色から茶褐色へと変化していきます。また、食べたものの色がそのまま出ることもよくあります。ほうれん草を食べたら緑色、にんじんを食べたらオレンジ色など、食べ物に心当たりがあれば心配いりません。
要注意!この色のうんちは受診が必要です
【最重要】白・クリーム色・灰白色のうんち
白っぽいうんちは、最も注意が必要な色です。母子手帳に載っている便色カードで1〜3番に当てはまる場合は、すぐに小児科を受診してください。
白いうんちが出る原因として、胆道閉鎖症(たんどうへいさしょう)という病気があります。これは胆汁が腸に流れなくなる病気で、約1万人に1人の割合で発生すると言われています。
この病気は生後60日以内に発見して治療を始めることで、その後の経過が大きく変わることがわかっています。だからこそ、白っぽいうんちを見つけたら、迷わず受診することが大切なのです。
白いうんちが出る別の原因として、ロタウイルス感染症もあります。「米のとぎ汁のような」白い水様便が特徴で、嘔吐や発熱を伴うことが多いです。こちらも早めの受診をおすすめします。
赤いうんち・血が混じったうんち
血便にもいくつかの種類があり、緊急度が異なります。
「いちごジャム状」の粘血便は、腸重積症(ちょうじゅうせきしょう)という緊急性の高い病気のサインかもしれません。生後3ヶ月〜2歳に多く、間欠的に激しく泣く、嘔吐するなどの症状を伴います。この場合は夜間でも救急受診が必要です。
一方、便の表面に少量の鮮血がついている場合は、肛門の切れ(裂肛)が原因のことが多いです。硬いうんちで肛門が傷ついた場合に起こりやすく、1〜3歳のお子さんに多く見られます。機嫌がよく、出血が少量であれば、翌日の受診でも問題ないことが多いです。
また、トマトやスイカ、イチゴなど赤い食べ物を食べた後に赤いうんちが出ることもあります。食べ物に心当たりがあり、お子さんが元気なら様子を見ても大丈夫です。
黒いうんち(タール便)
真っ黒でねっとりとした、コールタールのようなうんちは、胃や十二指腸からの出血のサインである可能性があります。小児では稀ですが、見つけた場合は当日中に受診してください。
ただし、鉄剤を飲んでいる場合や、海苔やブルーベリーをたくさん食べた後は、うんちが黒くなることがあります。また、生まれて数日以内の胎便も黒っぽい色をしています。これらは心配いりません。
緑色のうんちは大丈夫?
結論から言うと、緑色のうんちは多くの場合、心配いりません。
緑色になる主な原因は、胆汁に含まれる色素が酸化することです。腸の動きが活発なとき、空気をたくさん飲み込んだとき、抗生剤を飲んでいるときなどに起こりやすいです。
お子さんの機嫌がよく、食欲があり、元気に過ごしているなら、緑色のうんちを見ても慌てなくて大丈夫ですよ。
ただし、便色カードの1〜3番に近いような「薄い緑」や「白っぽい緑」は注意が必要です。迷ったときは、便色カードで確認してみてくださいね。
便色カードの正しい使い方
便色カードとは?
便色カードは、胆道閉鎖症を早期に発見するために開発されたもので、2012年から母子健康手帳への掲載が義務化されています。7色の色見本があり、1〜3番は異常、4〜7番は正常の範囲を示しています。
正しいチェック方法
便色カードを使うときは、以下のポイントを意識してください。
- 日中の明るい光の下で確認する(夜間は昼光色の照明下で)
- 便色カードをおむつの便に近づけて比較する
- 迷ったときは小さい方の数字を選ぶ
- 派手な色のものをおむつの周りに置かない
いつチェックすればいい?
生後2週間、1ヶ月、2ヶ月頃にチェックすることが推奨されています。ただし、胆道閉鎖症のお子さんの中には、1ヶ月健診の時点では正常な色で、その後に白っぽくなるケースもあります。生後5ヶ月頃までは、時々便の色を確認する習慣をつけておくと安心です。
家庭でできる対処とケア
うんちの観察と記録のコツ
気になるうんちが出たときは、スマートフォンで写真を撮っておくことをおすすめします。色や状態は言葉では伝わりにくいので、受診時に見せると医師の判断に役立ちます。可能であれば、便のついたおむつをビニール袋に入れて持参するとより正確です。
記録しておくとよい項目は、便の回数・量・硬さ・色・血液や粘液の有無・いつから変化したか・最近の食事内容です。
下痢のときの水分補給
下痢が続いているときは、脱水症状に注意が必要です。唇が乾いている、6時間以上おしっこが出ない、泣いても涙が出ないなどの症状があれば、経口補水液で水分を補給しましょう。
ポイントは少量ずつ頻回に与えること。ペットボトルのキャップ1杯(約5ml)を5分おきに与えるところから始めてみてください。嘔吐がなければ徐々に量を増やしていきます。
やってはいけないこと
- 自己判断で下痢止めを使う(感染症の場合、菌を体外に出す妨げになることがあります)
- 白いうんちを「様子見」で放置する
- 血便が出ているのに、元気だからと受診を先延ばしにする
こんなときは受診を|緊急度別チェックリスト
今すぐ救急受診が必要
- いちごジャム状・いちごゼリー状の粘血便
- 大量の血便(おむつが真っ赤になるほど)
- 白色・灰白色のうんち(便色カード1〜3番)
- 激しい腹痛で間欠的に泣き叫ぶ+血便
- ぐったりしている、顔色が悪い
- 高熱を伴う血便
- 黒いタール状のうんち+吐血
当日中に受診を
- 少量の血が混じるうんちが続いている
- 黒いタール状のうんち
- 下痢が続いて脱水症状がある
- 機嫌が悪い・食欲がない+便の異常
- 便秘後の排便時に出血があり痛がっている
翌日まで様子を見てもよいが注意が必要
- 緑色のうんちだが元気で食欲もある
- 赤い食べ物を食べた後の赤っぽいうんち
- 便秘後の硬いうんちによる少量の出血(機嫌がよい場合)
- うんちの中に白い粒々がある(脂肪球で正常です)
- 鉄剤を飲んでいて黒いうんちが出た
迷ったら#8000に電話を
「#8000」は全国共通の小児救急電話相談です。夜間や休日に「受診すべきかどうか迷う」というときに、小児科医師や看護師に相談できます。対応時間は都道府県によって異なりますので、お住まいの地域の情報を確認しておくと安心です。
まとめ
- 白・クリーム・灰白色のうんちは最も注意が必要。便色カード1〜3番なら迷わず受診を
- 緑色のうんちは多くの場合正常。機嫌がよく食欲があれば心配いりません
- いちごジャム状の血便は緊急のサイン。夜間でも救急受診してください
- 便色カードは生後5ヶ月頃まで定期的に活用。胆道閉鎖症の早期発見につながります
- 迷ったときは#8000や医療機関に相談を。写真を撮っておくと受診時に役立ちます
うんちの色が気になったとき、「これくらいで病院に行っていいのかな」と迷うこともあるかもしれません。でも、心配なときは遠慮なく受診してください。「来てくれてよかった」と言う医師や看護師がほとんどですよ。一人で抱え込まず、いつでも相談してくださいね。
📚 参考文献・引用元
- 1.こども家庭庁「便色カード活用マニュアル」 [ガイドライン] エビデンス: 高(ガイドライン)
- 2.日本小児外科学会「胆道閉鎖症」 [公式情報] エビデンス: 高
- 3.日本小児外科学会「腸重積症」 [公式情報] エビデンス: 高
- 4.国立成育医療研究センター「便色カードについて」 [公式情報] エビデンス: 高
- 5.厚生労働省「小児救急電話相談事業(#8000)」 [公式情報] エビデンス: 高
- 6.難病情報センター「胆道閉鎖症(指定難病296)」 [公式情報] エビデンス: 高
⚠️ ご注意(免責事項)
- 本記事は情報提供を目的としており、医師の診断・治療の代替となるものではありません。
- お子さまの症状や状態には個人差があります。気になる症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。
- 緊急性が高いと判断される場合は、この記事の内容にかかわらず、すぐに医療機関を受診するか救急車を呼んでください。

コメント