「歯磨きイヤ!」「お片付けしたくない!」——毎日この繰り返しで、ぐったりしているママも多いのではないでしょうか。
私も2人の子どもを育てながら小児科で7年働いてきましたが、正直なところ「どうしたら自分からやってくれるの?」と何度も頭を抱えました。そんなとき出会ったのが「ゲーミフィケーション」という考え方です。
この記事では、ゲームの楽しい要素を日常の育児に取り入れて、お子さんの「やりたい!」を引き出す方法をお伝えしますね。
ゲーミフィケーションってなに?
ゲーミフィケーションとは、ゲームで使われる「ポイント」「レベルアップ」「ごほうび」などの仕組みを、日常生活に取り入れることです。子どもにとって「やらなきゃいけないこと」を「やりたいこと」に変える魔法のような手法なんですよ。
なぜ子どもに向いているかというと、子どもの脳は「達成感」や「承認」に対してとても敏感だからです。小さな成功体験を積み重ねることで、ドーパミンが分泌され、「またやりたい!」という気持ちにつながります。
年齢別のポイント
1〜2歳:シンプルな「できたね!」の声かけと拍手で十分です。この時期はまだポイント制は理解しにくいので、その場での褒め言葉を大切に。
3〜4歳:シール表やスタンプカードが効果的です。目に見える形で「がんばり」が貯まっていくのが嬉しい時期ですね。
5〜6歳:ポイント制やレベルアップの概念が理解できるようになります。少し複雑なルールも楽しめるでしょう。
具体的なやり方
1. シール表・ごほうびチャート
一番取り入れやすい方法です。歯磨き、お片付け、着替えなど、習慣にしたいことをリストにして、できたらシールを貼ります。
私の場合は、100円ショップで買ったシール表を冷蔵庫に貼っています。シールが10個貯まったら「好きなおやつを選べる券」にしていますよ。ポイントはごほうびを物ではなく「体験」にすること。「ママと一緒にクッキー作り」「公園で特別に長く遊ぶ」などがおすすめです。
2. タイマーチャレンジ
「お片付け、3分でできるかな?よーいスタート!」とタイマーをセットするだけ。子どもは「競争」や「チャレンジ」が大好きなので、いつもの作業がゲームに早変わりします。
病棟でも、検査を怖がるお子さんに「10数える間にできるかな?」と声をかけると、集中してくれることがよくありました。
3. レベルアップシステム
5〜6歳向けですが、「お手伝いレベル」を設定するのも楽しいですよ。レベル1は「自分のお皿を運ぶ」、レベル5は「食器を洗う」など段階を作ります。レベルが上がるとできることが増える、という仕組みが子どもの自信につながります。
4. 音楽を使う
お気に入りの曲が終わるまでに着替えを終わらせる、という方法もあります。「パプリカの曲が終わるまでにパジャマに着替えよう!」など、遊び感覚で取り組めますね。
うまくいかないときのコツ
「シール表を作ったのに、すぐ飽きちゃった…」というお声もよく聞きます。これ、実はよくあることなんです。
うまくいかないときは、目標が高すぎないかを見直してみてください。最初は「歯ブラシを持てたらOK」くらいハードルを下げることが大切です。成功体験を積み重ねることが何より重要なんですよ。
また、お子さんと一緒にルールを決めると続きやすいです。「何のシールにする?」「ごほうびは何がいい?」と相談すると、自分で決めたことだから守ろうという気持ちが生まれます。
こんなときは専門家に相談を
ゲーミフィケーションは多くのお子さんに効果的ですが、以下のような場合は小児科や発達相談窓口への相談をおすすめします。
- どんな工夫をしても特定の行動が極端に難しい場合
- 同年齢のお子さんと比べて、理解や反応に気になる点がある場合
- ごほうびへの執着が強すぎて、パニックになってしまう場合
- 感覚過敏(特定の音や触感を極端に嫌がる)がある場合
これらは発達特性に関係している可能性もありますので、早めに専門家に相談することで適切なサポートにつながることがあります。「ちょっと気になるな」程度でも、かかりつけの小児科や地域の子育て支援センターに相談してみてくださいね。
まとめ
子育てのゲーミフィケーションについてお伝えしてきました。大切なポイントをおさらいしますね。
まず、小さな成功体験を積み重ねることが基本です。目標は低めに設定して、「できた!」をたくさん経験させてあげてください。そして、お子さんと一緒にルールを決めることで、主体性が育ちます。最後に、ごほうびは物より体験にすると、親子の絆も深まりますよ。
毎日の育児、本当にお疲れさまです。全部うまくやろうとしなくて大丈夫。今日ひとつでも「楽しかったね」と思える瞬間があれば、それで花丸です。一緒にゆるっと頑張りましょうね。


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