「パパのコーヒー飲みたい!」とお子さんにせがまれて、「何歳からならいいんだろう?」と迷った経験はありませんか?また、緑茶やチョコレートにもカフェインが含まれていると聞いて、「知らないうちに摂らせすぎているかも…」と不安になることもありますよね。
この記事では、小児科看護師として7年の経験を持つ私まろんが、子どものカフェイン摂取について科学的な根拠をもとにわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 子どもにコーヒーを与えてよい年齢の目安
- カフェインが子どもの体に与える影響
- 年齢別の安全なカフェイン摂取量
- コーヒー以外のカフェイン含有食品と注意点
- カフェインを摂りすぎたときの症状と対処法
子どものカフェイン摂取、日本に公式基準はない
実は、日本の厚生労働省や食品安全委員会は、子どものカフェイン摂取量について具体的な数値基準を設けていません。これは「個人差が大きく、科学的に安全な上限を決めることが難しい」という理由からです。
そのため、日本の公的機関は海外の基準を「参考」として紹介しています。特によく引用されるのがカナダ保健省の基準で、以下のような目安が示されています。
カナダ保健省による年齢別カフェイン摂取上限
- 4〜6歳:1日45mg以下(コーヒー約75ml=コップ3分の1程度)
- 7〜9歳:1日62.5mg以下
- 10〜12歳:1日85mg以下
また、欧州食品安全機関(EFSA)は体重1kgあたり3mg/日を目安としています。体重15kgのお子さんなら約45mg、体重20kgなら約60mgが上限の計算になります。
一方、米国小児科学会(AAP)はより厳しい姿勢で、「12歳未満の子どもはカフェイン摂取を避けるべき」と明確に推奨しています。
結局、何歳からOK?年齢別の考え方
【0〜3歳】カフェインは避けましょう
この年齢のお子さんに安全なカフェイン量のデータは存在しません。代謝能力が未熟なため、専門家は一様に「控えるべき」としています。麦茶やルイボスティーなど、カフェインを含まない飲み物を選んであげてください。
【4〜6歳】与える場合は1日45mg以下を目安に
どうしてもコーヒーを飲みたがる場合は、ミルクで4分の1程度に薄めて少量なら大丈夫と考えられています。ただし、脳神経の専門家の中には「4〜6歳は25mg/日以下」というより慎重な数値を推奨する方もいます。
カフェインが子どもの体に与える5つの影響
「少しくらいなら大丈夫でしょ?」と思われるかもしれませんが、子どもの体は大人とは違います。なぜ注意が必要なのか、具体的に見ていきましょう。
1. 睡眠への影響が最も心配
カフェインは脳を覚醒させる作用があり、子どもでは効果が6〜8時間も続くことがあります。研究では、1日45mg以上のカフェイン摂取で「夜中に目が覚める」割合が増えることが報告されています。
成長ホルモンは深い睡眠中に分泌されるため、睡眠の質が下がると発達に間接的な影響を与える可能性があります。
2. 脳と神経系の発達への影響
カフェインは特に「前頭前野」という知性や理性をつかさどる脳の領域の発達に影響を与える可能性があると指摘されています。前頭前野は20歳頃まで発達が続くため、幼児期の習慣的なカフェイン摂取には注意が必要と考えられています。
3. 心臓への負担
カフェインは心拍数を上げ、血圧を上昇させます。特にエナジードリンクによる心拍の乱れ(不整脈)が子どもで報告されており、注意が必要です。
4. 骨の成長への影響
カフェインはカルシウムの吸収を妨げ、尿への排出を増やす作用があります。骨にカルシウムが蓄積される成長期には気になる点ですが、牛乳1〜2杯で相殺できる程度とも言われています。
5. 子どもはカフェインが抜けにくい
ここが最も重要なポイントです。大人がカフェインを体内で半分に分解するのに2〜8時間かかるのに対し、乳児では約80時間(大人の約20倍!)もかかることがあります。肝臓の代謝酵素が未熟なためで、思春期頃にようやく大人と同程度の処理能力になると考えられています。
また、体重が軽い分、同じ量を飲んでも体への影響は大きくなります。体重15kgの子どもがコーヒー100mlを飲むと、体重60kgの大人が400ml飲むのと同じ負担がかかる計算です。
コーヒーだけじゃない!カフェインを含む食品一覧
「コーヒーは飲ませていないから大丈夫」と思っていても、実は様々な食品にカフェインが含まれています。1日の合計量を意識することが大切です。
飲み物のカフェイン量(100mlあたり)
- 玉露:約160mg(コーヒーより多いので要注意!)
- ドリップコーヒー:約60mg
- インスタントコーヒー:約57mg
- 紅茶:約30mg
- 煎茶・ほうじ茶・ウーロン茶:約20mg
- コーラ:約10〜13mg(500mlペットボトルで約50mg)
- 麦茶:0mg(子どもに最適!)
お菓子のカフェイン量
- ミルクチョコレート(板チョコ1枚):約14〜17mg
- ハイカカオチョコ(70%以上):約34〜72mg(意外と多い!)
- ココア1杯:約10mg
- ホワイトチョコレート:ほぼ0mg
エナジードリンクは絶対NG
エナジードリンクは1本(250〜355ml)で100〜150mgものカフェインを含む製品があります。小学生が1本飲むだけで1日の上限を大幅に超えてしまいます。
日本小児科学会は、8歳のお子さんがエナジードリンク500mlを一気に飲んでカフェイン中毒が疑われた事例を報告しています。「お子様は飲用をお控えください」の表示がありますが、法的な規制はないため、家庭でしっかり管理することが大切です。
家庭でできる対処法と注意点
子どもにカフェインを与える際のポイント
- コーヒーを与える場合は必ずミルクで薄める(最低4倍希釈)
- 夕方以降は避ける(睡眠への影響を防ぐため)
- お茶、チョコレート、コーラなど1日の総量を意識する
- 子どもの様子(寝つきの悪さ、落ち着きのなさ)を観察する
- デカフェやカフェインレス製品の活用を検討する
デカフェは子どもに安全?
デカフェコーヒーはカフェインを90%以上除去したもので、1杯あたり約3〜9mgのカフェインが残っています。通常のコーヒー(約90mg)の10分の1以下なので、どうしてもコーヒー気分を味わいたいお子さんには良い選択肢です。
ただし、3歳以下のお子さんや、カフェインに敏感なお子さんには、完全ノンカフェインの麦茶やルイボスティー、たんぽぽコーヒーがおすすめです。
やってはいけないこと
- エナジードリンクを与える
- 大人と同じ濃さのコーヒーを飲ませる
- 就寝前にカフェイン含有食品を与える
- 子どもの手の届くところにエナジードリンクを置く
こんなときは受診を:カフェイン過剰摂取の症状
子どもがカフェインを摂りすぎてしまった場合、以下のような症状が現れることがあります。体重1kgあたり20mg程度で中毒症状が出る可能性があるとされています(体重15kgの子どもで約300mg=コーヒー約2.5杯相当)。
🚨 今すぐ救急受診が必要な症状
- けいれんを起こしている
- 意識がぼんやりしている、反応が鈍い
- 呼吸が苦しそう
- 激しい胸の痛みを訴える
- 脈が極端に速い、または乱れている
⚠️ 当日中に受診すべき症状
- 何度も吐いてしまう
- 激しい頭痛を訴える
- 手足が震えて止まらない
- 極度に興奮して落ち着かない
👀 様子を見てよいが注意が必要な症状
- 軽い吐き気
- いつもより眠れない
- 少し落ち着きがない
- 軽い頭痛
家庭での対処法
軽い症状であれば、水分をこまめに摂らせてカフェインの排出を促しましょう。麦茶、水、経口補水液などがおすすめです。カフェインは体内のカリウムやマグネシウムを排出するため、バナナや野菜を摂るのも効果的です。安静にさせて様子を見て、症状が改善しない場合や悪化する場合は迷わず医療機関を受診してください。
まとめ
- 3歳以下はカフェインを避け、4〜6歳でも1日45mg以下が目安
- 子どもはカフェインの代謝が遅く、大人より影響を受けやすい
- コーヒーだけでなく、お茶・チョコ・コーラなど1日の総量を意識する
- エナジードリンクは子どもに与えない
- 飲ませる場合はミルクで薄め、夕方以降は避ける
- 心配な症状があれば、迷わず医療機関に相談を
カフェインは子どもの成長に必要な栄養素ではありません。「絶対ダメ」とは言いませんが、積極的に与える必要もないものです。お子さんがコーヒーに興味を持ったら、まずはデカフェや麦茶で代用してみてくださいね。心配なことがあれば、かかりつけの小児科医に相談すると安心ですよ。
📚 参考文献・引用元
- 1.厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」 [公式情報] エビデンス: 高
- 2.食品安全委員会「カフェインのファクトシート」 [公式情報] エビデンス: 高
- 3.日本小児科学会 Injury Alert(傷害速報)No.120 カフェイン過剰摂取 [ガイドライン] エビデンス: 高
- 4.Health Canada – Caffeine in Food [ガイドライン] エビデンス: 高(ガイドライン)
- 5.EFSA Scientific Opinion on the safety of caffeine [ガイドライン] エビデンス: 高(ガイドライン)
⚠️ ご注意(免責事項)
- 本記事は情報提供を目的としており、医師の診断・治療の代替となるものではありません。
- お子さまの症状や状態には個人差があります。気になる症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。
- カフェインへの感受性には個人差が大きいため、記載の目安量はあくまで参考値です。お子さまの様子を見ながら判断してください。


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