離乳食を食べないと栄養が心配…どう判断すればいい?
せっかく作った離乳食を全然食べてくれない、スプーンを近づけると顔を背ける…こんな日が続くと「栄養は足りているの?」「このまま成長に影響が出るのでは?」と不安になりますよね。
この記事でわかること:
- 離乳食を食べない赤ちゃんの栄養状態の確認方法
- 母乳やミルクでどこまで栄養を補えるのか
- 家庭でできる食べさせ方の工夫
- 栄養不足で受診が必要な具体的なサイン
- 月齢別の考え方と対処法
離乳食を食べない赤ちゃんの栄養状態、どう見る?
離乳食を食べないのはよくあること
まず知っていただきたいのは、離乳食を思うように食べてくれない赤ちゃんは決して珍しくないということです。小児科外来でも「離乳食を食べない」という相談は非常に多く寄せられます。
赤ちゃんが離乳食を食べない理由は様々です:
- まだ母乳やミルクで満足している
- スプーンの感触や食べ物の食感に慣れていない
- お腹が空いていない、または逆に空きすぎて機嫌が悪い
- 味や温度、固さが好みに合わない
- 環境が落ち着かない(テレビがついている、周りが騒がしいなど)
- 体調が優れない(風邪の引き始めなど)
栄養不足かどうかは「成長曲線」で判断
栄養が足りているかどうかの一番の目安は、体重と身長が成長曲線に沿って増えているかです。母子健康手帳に載っている成長曲線のグラフに、定期的に記録をつけてみましょう。
成長曲線の見方のポイント:
- 曲線の帯の中に入っていればOK(上のほうでも下のほうでも問題ありません)
- 帯から外れていても、その子なりのカーブを描いて成長していれば心配ないことが多い
- 急に成長が止まったり、体重が減り続けたりする場合は要注意
離乳食をあまり食べなくても、母乳やミルクでしっかり栄養が取れていれば、体重は増えていきます。
月齢別の考え方
離乳初期(5〜6ヶ月頃):
この時期は「食べる練習」が主な目的です。栄養のほとんどは母乳やミルクから摂取しているので、離乳食を食べる量が少なくても栄養面での心配はほとんどありません。
離乳中期(7〜8ヶ月頃):
徐々に離乳食からの栄養が増えてくる時期ですが、まだ母乳やミルクが主要な栄養源です。特に鉄分不足が気になり始める時期なので、レバーや赤身の魚、ほうれん草などを取り入れられると良いですが、無理に食べさせる必要はありません。
離乳後期〜完了期(9ヶ月〜1歳半頃):
離乳食から摂る栄養の割合が増えてきます。ただし、1歳過ぎまでは母乳やミルクで栄養を補うことができます。この時期に食べる量が少ない場合は、フォローアップミルクを活用するのも一つの方法です。
家庭でできる対処法と工夫
母乳・ミルクとのバランスを見直す
離乳食を食べない一番の理由が「お腹が空いていない」ということはよくあります。
- 離乳食の前に母乳やミルクをあげすぎていないか確認する
- 離乳食の時間を、授乳の3〜4時間後に設定してみる
- 逆に、お腹が空きすぎて機嫌が悪いようなら、少し母乳やミルクを飲ませてから離乳食を試す
- 離乳食後に母乳やミルクをしっかりあげて、トータルでの栄養を確保する
食べやすくする工夫
調理法や環境を変えることで、食べてくれるようになることもあります:
- 固さを調整: 月齢の目安より少し柔らかめにしてみる、または逆に少し固形感を出してみる
- 温度: 人肌程度に冷ます(熱すぎても冷たすぎても食べないことがあります)
- 味付け: 無味では食べにくいこともあるので、ほんの少しだし汁で風味をつける
- 食べる環境: テレビを消す、おもちゃを片付けるなど、食事に集中できる環境を作る
- タイミング: 眠くなる前、機嫌の良い時間帯を選ぶ
- 食器やスプーン: 別のものに変えてみる(シリコン製、木製など)
無理強いしないことも大切
食事は本来楽しいものです。嫌がっているのに無理に口に入れようとすると、食事自体が嫌いになってしまう可能性があります。
- 食べないときは10〜15分で切り上げる
- 「また明日試そうね」と気持ちを切り替える
- 食べたら大げさに褒める(少量でもOK)
- 親が美味しそうに食べる姿を見せる
やってはいけないこと
- 無理やり口をこじ開けて食べさせる
- 食べないことを叱る
- 泣いている時に食べさせようとする
- 1回の食事に30分以上かける(疲れてしまいます)
- 他の子と比較してプレッシャーをかける
こんなときは受診を検討しましょう
離乳食を食べないだけなら様子を見てよいことが多いですが、以下のような症状がある場合は医療機関への相談を検討してください。
すぐに受診が必要な状態
- ぐったりしていて元気がない
- 水分も全く受け付けず、おしっこが6時間以上出ていない
- 唇や皮膚が乾燥している(脱水のサイン)
- 呼吸が苦しそう、顔色が悪い
- 高熱が続いている(38.5度以上が24時間以上)
数日以内に受診を検討
- 体重が1ヶ月以上増えていない、または減っている
- 成長曲線のカーブから大きく外れてきた
- 母乳やミルクも含めて、ほとんど飲食ができない状態が数日続いている
- 嘔吐や下痢を繰り返している
- 食べ物を口に入れると必ず吐いてしまう
- 機嫌が悪く、ずっとぐずっている
乳幼児健診や次回の小児科受診時に相談
- 離乳食をほとんど食べない状態が2〜3ヶ月続いている
- 1歳を過ぎても固形物を全く受け付けない
- 特定の食感のものしか食べない(偏りが極端)
- 体重は増えているが、親として心配や不安が大きい
迷ったときは、遠慮せずにかかりつけの小児科や保健センターの栄養相談を利用しましょう。専門家に話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。
まとめ:焦らず、その子のペースで
- 離乳食を食べなくても、体重が増えていれば栄養は足りている
- 成長曲線に沿って成長しているかが重要な判断材料
- 母乳やミルクで栄養を補える時期は長い(1歳過ぎまでは主要な栄養源)
- 食べやすさの工夫(固さ、温度、環境)で改善することもある
- 無理強いせず、食事を楽しい時間にすることが将来の食習慣につながる
離乳食がなかなか進まないと焦ってしまいますが、食べる量や好みには個人差が大きいものです。「この子のペースがあるんだな」と受け止めて、長い目で見守ってあげてください。
それでも心配なときや、何か気になることがあれば、一人で抱え込まずに小児科医や保健師さんに相談してくださいね。きっと良いアドバイスがもらえますよ。


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