母乳育児を望む方必見!この記事を読むことで生理学的な母乳の仕組みを理解し適切な母乳育児行動につながることを願います。赤ちゃんにより良い健康のため知識をつけていきましょう!
母乳はどこで作られているのか?
乳房について
これからどのように母乳が作られるのか話していきますが、その前に乳房に焦点を当てて話していきます。女性は思春期になると脳と卵巣から性ホルモンが分泌され乳房内にある乳腺細胞に作用します。乳腺細胞とは乳汁を作る細胞のことです。乳腺細胞が成長するとバストアップとなるわけです。ただ、話が少し脱線しますが乳房は乳腺組織(乳腺細胞の集まり)と皮下脂肪で構成されています。よく大きな方が乳汁が出やすいと言われますがあれは嘘で、乳腺組織が多く成長すると分泌しやすいということになります。
乳房の発達にはエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンが関わってきます。
エストロゲン
エストロゲンとは女性らしさを作るホルモンです。女性らしさというと例えば見た目は丸みを帯びやすく、乳房の成長や性器の発達、子供を授かる準備(子宮内膜の肥厚)と言う効果があります。
プロゲステロン
プロゲステロンとは子供を子宮内で育てる作用を持っています。そのため、プロゲステロンが分泌されているときは受精卵が子宮内膜に着床しやすく、妊娠した際の妊娠継続の作用があり、乳房の成長にも関わっています。よく月経前に乳房が張ることがありますが、プロゲステロンの乳房成長作用の方が強いからです。
非妊娠期のホルモン周期
母乳を作る工程
母乳を作る工程には二つあります。一つは身体の中のホルモン、もう一つは母乳自身です。
まず初めに、今まで出てきたホルモンは乳汁を作るホルモンではありません。あくまで乳汁を作る組織を成長させるホルモンです。例えるなら、乳汁を作る工場の部分を整えていたに過ぎません。実際、工場に乳汁を作るよう指示するホルモンはプロラクチンというホルモンです。下の図をご覧ください。
妊娠中〜出産後のホルモン変動
プロラクチンは妊娠し始めから分泌量が徐々に増えていき、分娩する(出産する)直前で分泌量が最大になります。出産後、授乳するたびに分泌量が一時的に増えますが徐々に下がっていきます。下がっていくのをより滑らかにするには頻回の授乳が必要なわけです。母側から言えば頻回に授乳すれば母乳量を確保しつつ授乳ができるわけです。ちなみにプロラクチンには排卵抑制作用があり、授乳期は妊娠しづらい状態となります。ただしいつ排卵が再開するかは徐々にプロラクチンの分泌量が下がることを見てもわかるように個人差がありますので、家族計画はしっかり立ててから、避妊具を適正に使用した方がいいです。
母乳量は母乳が決めている!
さて母乳量を調整しているのはホルモンと母乳自身が調整していると言いました。今度は母乳自身の方に焦点を当てて解説していきましょう。
まず、乳腺細胞が乳汁を作り乳腺腔という場所に溜まります。赤ちゃんがママの乳頭を咥えることでオキシトシンという乳汁を赤ちゃんへ送るホルモンが分泌されます。オキシトシンの作用で乳腺腔の周りにある筋肉が収縮し乳腺腔が狭くなり乳汁が押されるわけです。これがもし乳頭を咥えなかったら、乳汁が乳腺腔に残されます。乳汁の成分の一つに乳汁生成抑制因子という物質が入っています。この乳汁抑制因子が乳腺腔にある乳腺細胞に作用して乳汁生成を止めます。卒乳の際に必要になりますが、母乳育児を始めたい人にとっては邪魔な存在です。そのためプロラクチンの分泌同様、頻回に授乳することで乳汁産生抑制因子を含んでいる乳汁を赤ちゃんへあげることで乳房内の乳汁を減らし乳汁産生をさせていくことが母乳育児をする上で大切になります。
もし数時間でも授乳の間隔が開く際は、搾乳をすることで乳房内を空にすることができます。出かけるときは搾乳器を持参しいつでも搾乳できるようにした方が安心ですね。搾乳するときは、清潔に取り扱うことで常温でも6時間以内なら哺乳瓶で哺乳させて問題ありません!
まとめ
母乳は成熟した乳腺細胞にホルモンが作用することで作られます。母乳を作るホルモンは出産直前が分泌量が多く授乳をしないと徐々に分泌量が低下し母乳生産量も低下します。また母乳自身も乳汁生成抑制因子を持つため乳房内に母乳が溜まった状態であると乳腺細胞に作用し乳汁の生成を止めてしまうため頻回の授乳が必要となるわけです。
そしてもう一つ、今回は触れられませんでしたがママと赤ちゃんの呼吸が大事になります。つまりママの飲ませ方、赤ちゃんの飲み方が重要になります。仮に二人以上出産したとしてもお互い初めて会う親と子の呼吸を合わせることが大切です。初めて会う二人はとても未熟なのです。練習を積んで上手に咥えさせ、上手に吸啜(咥えて吸う)ができれば、さらに母乳育児が進むことでしょう!
次は飲ませ方・咥え方の方で解説したいと思います!今回の記事で得た知識を母乳育児をするうえで頭の片隅にあれば、赤ちゃんにとってより良い健康の助けになるはずです。母乳のメリットデメリットについても今後解説していきますのでよろしくお願いします。
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