どうもこんにちは!小児科看護師のまろんです!
皆さんはマタニティー旅行、通称マタ旅をご存知でしょうか?いろいろな育児系の雑誌、マタニティー系の雑誌で取り扱われた単語のようです。
小児科看護師としてマタニティー旅行(以下,マタ旅)に行くか迷われる方が一読してほしい内容に仕上げますので是非、最後まで読んでいただけると幸いです。
マタニティー旅行(マタ旅)って何?
マタ旅の意味とは
まず初めに言葉の意味から見ていきましょう!
マタニティー旅行、マタ旅とは妊娠中期〜妊娠後期前までに旅行をすること。または、妊娠安定期に入って臨月前までに旅行すること。
と言った意味があるようです。簡単にいうと、「妊娠中(安定期)に旅行に行くこと」のようです。
なぜ、マタ旅が注目を浴びているのか?
なぜ、マタ旅に行くかというと、多くの方が
「出産後は子供の世話に追われて旅行どころではない」
「夫婦のみで旅行に入れる機会は出産後は少ない(又はない)」
「妊娠中に行く、旅行は今しかできない」
などの理由が挙げられるようです。一見確かにそうだなーって思いますね。一度出産すると本当に赤ちゃんとつきっきりだしどこかに出かけるにも子供と一緒になります。
夫婦だけで出かけることは難しく、子供が小さいうちは遠出するのも難しいです。
STOP!
それじゃ最後になりそうだしマタ旅しよう!とはならないでください。医療従事者であれば、マタ旅は否定すると思います。というか絶対にしないでください。この理由を以下に書いていきます。
マタ旅を考える上で大切なこと
まず、妊娠中の安定期の意味を捉え間違えている方がいますので正しい意味をお伝えしますと、「胎盤が完成しつわりなどの症状が落ち着いてきた」状況を安定期、と言います。
マタ旅の至る記事に「安定期」と書かれていると、「安定期」=「安全な時期」と思われがちですが、安全ではありません。
妊娠の安定期は安全じゃない?!
安定期と聞くと安全と思いがちですが、安全ではありません。あくまでも「症状が安定してきている状態」ですの安全ではありません。
また、妊娠全体のリスク管理として「年齢」「基礎疾患」「臨月で産まれるとは限らない」などなど。挙げるとキリがないのですが、基本的に陣痛はいつ来るかわかりません。
逆に安全というのは「かかりつけ医に指導されている範囲を守っている」「かかりつけにアクセスしやすい」「リスク管理が徹底されている」ことが挙げられます。
自然妊娠の確率を知ってますか?
自然妊娠する確率ってみなさんご存知でしょうか?健康な夫婦が毎日、愛しあったとして20歳代が30%、30歳代が20%、40歳代が10%となっています。
どうですか?思ったより高い、そんなもんなのって思われる方も多いんじゃないでしょうか?それに日本の周産期死亡率は2020年時点で3.2と低水準です。これに比べると高いって思うかもしれませんね。
周産期死亡率っていうのは簡単に言うと出産1000件に対して死産がどの程度あったかを表しますので、出産1000件に対して死産は3.2、0.32%くらいなんです。あくまで割合ですよ。確率じゃないのでご注意。
また、正期産の割合は令和元年で95.2%、早期産の割合が4.7%となっています。100人に4〜5人程度早く生まれていることになります。
早く生まれてしまうことで起こること
本来は38週程度お腹の中で過ごし未熟な身体を頑張って外でも生活できるよう、「お腹の中で成長を続けている」わけですが、早く生まれてしまうことで本来は外で生活できないにも関わらず外に放り出されてしまうわけです。
ここで例を挙げると外で過ごすためには「肺に酸素を取り込まなければなりません」。実は正期産で生まれた赤ちゃん何気なく呼吸をしますが、妊娠中にサーファクタントという肺界面活性剤が肺胞が潰れなようにしてくれます。
これがないと肺胞が潰れてしまい、子宮外で生きていけなくなるわけです。(ちなみに治療薬はあります。この肺界面活性剤は妊娠36週ごろに十分に行き渡るとされています。それより前に生まれるとうまく呼吸ができないわけです。
呼吸がうまくできないと当然低酸素になりますので治療が早く行わなければ脳に障害の残る可能性もあり…….
何が言いたいかというとただでさえ、正期産でも未熟として生まれると言われているのに、さらに早い段階で生まれてしまうと、より未熟……に生まれそもそも一人で生きていけない赤ちゃんが言い方は悪いですが、より手がかかるようになります。
医療的なケアから脱出して健常児と変わらない生活が送れればいいですが、継続した医療ケアが必要な子もいます。
まとめ
いかがだったでしょうか?最後に今まで表してきた数字は基本的に割合であって、確率ではないです。一般の方でも起こり得ることなので、リスク管理はしっかりした上で人生で何度とない妊娠という貴重な経験を味わってほしいなと思う2児の育てる小児科看護師として伝えたいなと思います。
以上参考になれば嬉しいです!マタ旅を推奨するのは儲かる先があるから….だと思います。皆様の人生で元気なお子さんと楽しく幸せな家庭を築くためには旅行ではなく正しい知識が必要ですので是非、熟慮していただけたらと心から思います。
いつもSNS等でシェアしていただきありがとうございます!より一層、質の高い情報提供ができればと思いますので更新は気長にお待ちください。
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